「ブラジリアナイト(brazilianite)」。
1945年に発見された比較的新しく、とても美しいものの出回る量が少ない宝石です。
収集家向けの宝石であるため知名度も低いのですが、アパタイト、フォスフォフィライトといった現在注目を集めている宝石との共通点もあります。
今回はブラジリアナイトの基礎知識についてお届け。
ブラジリアナイトの意味と和名、希少な宝石の魅力とは?
ブラジリアナイトの意味、和名、石言葉は?
ブラジリアナイトの意味と和名
「ブラジルの石」を表す「ブラジリアナイト(brazilianite)」。
アイオライト、タンザナイト、ゴシェナイトといった宝石と同じく、石という意味のラテン語「ite」がついています。
モース硬度は5半。
単斜晶系のリン酸塩鉱物。
同じリン酸塩鉱物にアパタイト、フォスフォフィライト、ターコイズがあります。
劈開は一方向に良好。
和名は「ブラジル石」。
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主な産出地はブラジル、アメリカ。
発見当初はブラジルでのみ産出すると考えられていましたが、現在ではアメリカのメイン州やニューハンプシャー州でもごくわずかな量が採掘されています。
ブラジリアナイトの石言葉
ブラジリアナイトの石言葉は「リフレッシュ」。
淡い色味が「癒し」「優しい」イメージとされるように、ブラジリアナイトの色味から連想したのかもしれませんね。
壊れやすい?美しさと脆弱さを併せもつブラジリアナイト
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ブラジリアナイトのカラーバリエーション
ライムグリーンから薄いイエロー、特に淡いイエローで美しいものはシャトルーズイエローと呼ばれています。
「シャトルーズ」とは黄色または緑色のリキュールの一種であり、「リキュールの女王」とも称されることも。
シェリー酒、コニャック、ワインなど、宝石の色はお酒の色に喩えられることも多く、シャトルーズもその一種ですね。
発見当初はクリソベリルと混同されていました。
「ブラジリアナイトってどんな宝石?」と聞かれたら、クリソベリルと間違われていた宝石というと人によっては色のイメージがつきやすいかもしれません。
ブラジリアナイトのカットの難易度
複数の面を持つファセットカットを施されたルース(裸石)がより希少とされるブラジリアナイト。
それは「脆く」「壊れやすい」といった性質が、カットの難易度を高くしているから。
ブラジリアナイトに限らず硬度が低かったり、または劈開が完全である鉱物は、原石を磨き上げる過程で破損してしまうことも。
モース硬度が最上の10を誇るダイヤモンドでさえ、割れやすい方向があるのです。
その性質があるからこそカットが可能なのですが、基本的に「脆く」「壊れやすい」のであれば「カボションカット」、あるいは手を加えない原石のまま市場に出回ることも珍しくありません。
ブラジリアナイトは特に「脆く」「壊れやすい」宝石。
研磨の際に生じる振動ですら、ブラジリアナイトを粉々に砕く要因となるほど繊細な鉱物。
十分な硬さをもっていれば、ブラジリアナイトは人気の宝石に名を連ねていたであろうとの言葉があるほどです。
そのため、高度な技能を持ち、限られた職人のみが研磨できるブラジリアナイトのカット石はとても希少なのですね。
取り扱い時の注意点は?
モース硬度5半は、ナイフで傷をつけられるほどの硬さであるため、日常生活でそれほど気を使うシーンはありません。
しかし、モース硬度は表面の傷つきにくさであり、ブラジリアナイトは「衝撃に弱い」性質を持つため、着用時はもちろん保管時にも注意を払う必要があります。
手入れの際は「超音波洗浄器を使用しない」、「他のジュエリー・アクセサリーと一緒に洗浄しない」ように。
軽く流水ですすぐ、セーム革で軽く拭うというように刺激を避けたお手入れをおすすめします。
POINT
- 1945年に発見された新しい宝石ブラジリアナイト
- アパタイト、フォスフォフィライト、ターコイズと同じリン酸塩鉱物
- ブラジリアナイトのカラーバリエーションはライムグリーンから薄いイエロー
- 淡く美しいイエローは「シャトルーズイエロー」と呼ばれる
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。