ジュエリーの基礎知識

【宝石の種類】アイオライト:意味と誕生月、多色性とウォーター・サファイアって?

青に紫をほんの一滴、垂らしたようなニュアンスのある青い宝石「アイオライト(Iolite)」。
角度を変えると黄、灰がかった青、さらには透明にも見える不思議な宝石。

色の変化も魅力的で、その不思議さにさまざまな人が魅了されました。
そのためか、アイオライトにはいくつかの別名が存在します。

今回は、新しく誕生石として追加されたことでも注目を集めた、アイオライトの基礎知識についてお届けします。

アイオライトの意味、和名、石言葉は?

アイオライトの意味と和名

ギリシャ語で紫を表す「Ios」と、石を表す「lithos」の合成語であるアイオライト。
鉱物名は「コーディエライト(Cordierite)」です。

モース硬度は7から7半、直方晶系の珪酸塩鉱物。
劈開はなし。

アイオライトの和名は「菫青石(きんせいせき)」。
青に近い紫といった深みのある色味の美しさは、春に咲く宝石といっても過言ではありませんね。

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アイオライトの石言葉

アイオライトの石言葉は「自己同一性」。
目標に向かい、正しい方向へと導く力があると信じられていました。

アイオライトの見る方向によって色が変わって見える特性を利用し、海賊が航海に出る際に持参することから「バイキングの羅針盤(バイキング・ストーン)」と呼ばれていました。

3月の誕生石

アイオライトは3月の誕生石
2021年12月に新しく誕生石として追加されました。

参考記事:知っておきたい!誕生石の一覧と意味(石名の英語表記つき)

アイオライトの多色性とは?

石言葉の項で述べた通り、見る角度によって色が変わって見えるアイオライト
角度により色が変化するその性質は「多色性(たしょくせい)」と呼ばれます。

なぜ角度によって色が変わって見えるのでしょう。

それは光がアイオライトを通過するとき、結晶方向によって吸収される光の色が異なるためです。

アイオライトの硬度が7から7半であるのも、結晶方向によって硬さが変わるから。

ひとつの宝石にふたつの硬さがある。
それがアイオライトの不思議な魅力を生み出すひとつの要素なのです。

たくさんの異名を持つアイオライト

ひとつの宝石に対し、いくつかの名前が付けられることは珍しくはありません。

その理由はさまざま。
別の宝石と長らく混同されていたり、安価な代用品として提案されていた背景があったり。

はたまた誰かの愛用品であったことから名付けられたりと、ストーリー性を感じられるものもあります。

アイオライトも例外ではなく、たくさんの異名を持っています。

ウォーター・サファイア」は、川の水の中から採集されることと、その美しい青色を称して名付けられました。

つぎに「ダイクロアイト」。
アイオライトの多色性をうまく表現した、2色の石を意味する言葉です。

最後に「スタインハイライト」。
石英(せきえい)」との違いに気づいた最初の人物、スタインハイルに因んで名付けられました。

ブラッドショット・アイオライト

ベースカラーは、基本紫から青までを表すアイオライト。
しかし、稀にレピドクロサイトが混入することにより、赤みを確認できるものが出現します。

それは「ブラッドショット・アイオライト」と呼ばれ、夜空に瞬く星のようなきらめきをみせてくれます。

キラキラ光りを受けて表情を変えるその様相は、アイオライトの多色性と相まっていろんな角度から眺めるのが楽しめそうな宝石といえるでしょう。

取り扱い時の注意点は?

硬度も7以上、紫外線で退色の恐れもない宝石ですが、超音波洗浄器は避けて。
お手入れ時には中性洗剤とぬるま湯を使用後、柔らかい布で拭い手入れを行なってください。

POINT

  • 2021年12月、新しく誕生石に追加されたアイオライト
  • 多色性を持ち、角度によって青、透明と色が変化して見える
  • 「ウォーターサファイア」「ダイクロアイト」と、たくさんの異名を持つ

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