ジュエリーの基礎知識

【宝石の種類】アズライト:意味と和名、硬度。ラピズラズリとの違いと三つの別名

ラピスラズリに似た青い宝石「アズライト(azurite)」。

ラピスラズリと同じく、青い釉や顔料の素材としての一面を持っています。
実は日本の有名な絵画作品にも、アズライトの顔料が使用されているのをご存知でしょうか。

今回はアズライトの基礎知識についてお届け。
ラピスラズリとの違いや特徴とは?

アズライトの意味、和名、石言葉は?

アズライトの意味と和名

アズライトの語源は少し複雑。

元々は発見地とされる「ラッズウォード(Lajward)」から。

そしてペルシャ語からアラビア語でラッズウォードの石を意味する「Lapis Lazuli」に。

実はこれはラピスラズリを意味する言葉で、時代を経て誤って分化し「azur」へ。

この「azur」に石を表す「rite」がくっついてアズライトとなりました。

ラピスラズリと似ているだけあって、語源も共有しているなんて面白いですよね。

混同されがちなラピスラズリは、ラズライトをはじめとする複数の鉱物から成る、アズライトとは別種の宝石です。

アズライトのモース硬度は3半から4。
単斜晶系の炭酸塩鉱物。

劈開は一方向に完全。

鉱物の性質も異なるので、ラピスラズリの記事と見比べてみてくださいね。

【宝石の種類】ラピスラズリ:意味と誕生月、フェルメールが愛した青の魅力

アズライトの和名は「藍銅石(らんどうせき)」。
銅の鉱床の地表に近い所で出来る藍色の鉱物、という産出時の状態を表しています。

主な産出地はフランス、メキシコ。

関連記事:宝石の和名が知りたい!名付けに役立つ宝石の名前や漢字のヒント一覧

アズライトの石言葉

アズライトの石言葉は「集中力の強化」。
持っているだけで気持ちを落ち着かせてくれるとか。

心を落ち着かせてくれる深い青色の印象から、そのように伝えられているのかもしれませんね。

アズライトの別名とは。尾形光琳の絵の顔料となった藍色の石

アズライトの三つの別名。マラカイトに変化する?

宝石には別名を持つものも少なくありません。

しかしアズライトは他の宝石よりも特別多い、三つの別名を持ちます。

まずは「チェッシーライト(Chessylite)」。

これはフランスのリヨンにある「チェッシー鉱山」で産出する特徴的な縞模様を示すアズライトを指します。

つぎに「ブルーカッパー(Blue copper)」。

和名の箇所で述べた通り、銅鉱床の近くで産出することから、青い銅を表すブルーカッパーと呼ばれます。

最後に「ブルーマラカイト(Blue marachite)」。
これはアズライトの不思議な性質を表現したもの。

アズライトを湿気の多い場所に長時間放置するとアズライトに含まれる炭酸分が水分によって抜け、マラカイトに変化。

そのため、マラカイトと一緒にみられることも多い宝石ですが、特異な性質により安定しないこともあってか、マラカイトに比べて産出量は限られます。

また、マラカイトからアズライトに変化することはないようです。

尾形光琳の「燕子花図屏風」に用いられた顔料としてのアズライト

水分が加わるとその姿を変える、不思議な性質を持つアズライト。

知名度は高くありませんが、たくさんの角度から楽しめる特別な宝石でもあります。

ここではアズライトと歴史上の人物の関わりをみていきましょう。

青い顔料として有名なラピスラズリ。

しかし、世界的にも産地が限定されており、日本でも産出しません。
その日本で、青い顔料として用いられたのはアズライト

特徴的な藍色と硬度の低さゆえの加工しやすさは顔料として重宝され、江戸時代中期を代表する画家である尾形光琳もアズライトの顔料を愛用。

国宝「燕子花図屏風」の燕子花(かきつばた)の花は、アズライトの顔料により表現。
また、葉の色にはマラカイトの顔料を使用しています。

金箔に映える印象的なふたつの色が、まさか不思議な関係にあるふたつの宝石で表現されているなんて、尾形光琳の表現には圧倒されますね。

ヨハネス・フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」の青いスカーフ部分を彩った顔料も、当時の価値は金以上であったと伝えられていますが、アズライトの顔料も他の顔料に比べ精製が難しいことから、マラカイトの顔料の10倍もの値で取引されていました。

青いふたつの顔料は、どちらも希少な素材であったのです。

取り扱い時の注意点は?

硬度が低く、劈開も一方向に完全という性質のため、衝撃は厳禁。

ジュエリーとして仕立てるなら、カボションカット、またはスライスカットのルースをペンダントトップに仕立てたものがおすすめ。

手入れ時、保管時には他の宝石や硬い素材にあたらないよう、慎重に扱ってくださいね。

POINT

  • 水分によりマラカイトに変化するアズライト
  • 名前の由来、色、用途など、様々な共通点があるラピスラズリは別種の宝石
  • 「チェッシー鉱山」産の特徴的な縞模様を示すアズライトは「チェッシーライト」と呼ばれる
  • 貴重な顔料の素材であり、国宝である尾形光琳の「燕子花図屏風」にも使用

【あわせて読みたい】宝石の不思議な性質に惹かれるなら、カラーチェンジの宝石もチェックしてみてはいかがでしょう

カラーチェンジする宝石7選。色が変わるのはどんな種類の宝石?