ジュエリーの基礎知識

カラーチェンジする宝石7選。色が変わるのはどんな種類の宝石?

産地に硬度、どのような結晶系かなど、宝石には一目ではわからない数々の性質があります。
そんな宝石の不思議な性質のひとつが「カラーチェンジ」。

変色性とも呼ばれるこの性質は、光源によって宝石の色が変わって見えることを指します。

カラーチェンジする宝石の代表格はアレキサンドライトですが、ほかにはどのような種類の宝石がカラーチェンジするのでしょう。

今回はカラーチェンジする宝石をご紹介します。

カラーチェンジ(変色性)とは?宝石の色が変化する理由

宝石の大きな魅力のひとつはその色味ですよね。
同じ青でもサファイアとタンザナイトの青が異なるように、宝石の種類によって、また同一の宝石でも産地によって色の表情は異なります。

変色性と多色性

また、宝石の種類だけでなく、カットやその宝石のもつ性質によって、宝石の色の見え方は変わります。

見る角度によって色が変化して見える代表的な宝石といえば、アンダリュサイトやタンザナイト。
しかし、これは変色性によるものではなく、多色性によるもの。

角度によって色を変えるのではなく、光学効果によって見た目の印象がガラリと変わるのが変色性なのです。

自然光下・蛍光灯下では緑の宝石が、白熱光下・ろうそくの灯りでは赤に見える不思議な性質です。

これは、宝石に含まれる成分と光の反射・吸収によって説明できます。
アレキサンドライトで説明をすると、青みが強い光源では青色を反射赤みが強い光源では赤色を反射、そして黄色を吸収する性質を持っているからです。

アレキサンドライトに含まれる「クロム」によるもので、クロムの含有率が高いほど顕著に現れます

カラーチェンジする7つの宝石

では、実際にカラーチェンジする宝石の種類と、色の変化についてみていきましょう。

アレキサンドライト

・自然光下【青緑】→白熱光下【赤紫】

「昼はエメラルド、夜はルビー」と称されるアレキサンドライト。
クリソベリルの変種であり、変色効果をもつ代表的な宝石です。

そのため、変色性のある宝石を「アレキタイプ」と呼ぶことも。

しかし、すべてのアレキサンドライトがはっきりとした色の変化を見せるわけではありません。
インクルージョンがなく色の変化が大きく、濃い色味の天然アレキサンドライトは価値が非常に高くなります

また、アレキサンドライトは変色性だけでなく、シャトヤンシー効果(キャッツアイ効果、猫の目のように光の筋が出現する効果を示すこともあるため、カラーチェンジする「アレキサンドライト・キャッツアイ」はさらに希少です。

その人気から、アレキサンドライトの合成石もしばしば市場に出回っています。

カラーチェンジ・ガーネット

・自然光下【青緑】→白熱光下【赤紫】
・自然光下【灰】→白熱灯光【桃】
・自然光下【黄】→白熱灯光【橙】

宝石のなかでも古くから愛されているガーネット。
カラーチェンジタイプが発見されたのは、20世紀も後半になってから。

良質のものはアレキサンドライトに劣らないほど色の変化が顕著で美しいのですが、ほかのガーネットと比べると小さな結晶で産出する傾向にあります。

カラーチェンジ・サファイア

・自然光下【青】→白熱光下【紫】
・自然光下【紫】→白熱光下【赤】
・自然光下【緑褐色】→白熱光下【赤褐色】

ほかのカラーチェンジの宝石同様、産地によって異なる色合いを見せるカラーチェンジ・サファイア。

スリランカ産のものは紫から赤に変化するなど、アレキサンドライトやカラーチェンジ・ガーネットとは異なり、中性色から暖色への変化が楽しめます。

カラーチェンジ・フローライト

・自然光下【緑】→白熱灯下【紫】
・自然光下【青】→白熱灯下【赤紫】

カラーバリエーションが豊富なフローライトは、加熱で発光するなど変わった性質を持つ宝石です。
硬度の低いフローライトですが、比較的大きな結晶が産出するため、存在感あるカラーチェンジの宝石を堪能したい方におすすめです。

カラーチェンジ・アメシスト

・自然光下【紫】→白熱灯下【赤】

アメシストならではのこっくりとした紫と、ラズベリーのような濃いピンクや赤みを帯びた紫を楽しめるカラーチェンジ・アメシスト。

ブラジルのカシャライ産、ウルグアイ産のものが良質とされています。

カラーチェンジ・アンデシン

・自然光下【緑】→白熱灯下【赤】

長年サンストーンと混同されていたアンデシンは、ニュアンスある色味とその透明感が魅力の宝石です。
カラーチェンジの宝石のなかでもシルキーさを楽しめるので、ひと味変わったカラーチェンジを楽しみたい方にぴったり。

カラーチェンジ・スピネル

・自然光下【紫】→白熱灯下【青】

カラーチェンジのなかでは色の変化が紫から青と控えめなカラーチェンジ・スピネル。

しかし、カットが整ったものはスピネルならではの強い輝きも加わり、さらに魅力的な宝石となります。

 

カラーチェンジする宝石は色の変化だけでなく、その宝石が本来持っている魅力も合わせて楽しめるのがお得感がありますよね。

ぜひこれをきっかけに、さらに宝石の見えない奥深さに触れてみてはいかがでしょう。

POINT

  • 宝石のカラーチェンジ(変色効果)は光学効果によるもの
  • カラーチェンジは自然光下・蛍光灯下と白熱光下で起こる
  • アレキサンドライトは変色効果とシャトヤンシー効果のふたつの光学効果を表す場合がある

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