ラピスラズリ(lapis lazuli)といえば、群青に映える、星のような金が印象的と答えられる方が多いのではないでしょうか。
絵画の顔料としても用いられてきた神秘的な青は、透明石とはまた違った輝き。
じつは古代エジプト時代から愛されてきた歴史ある宝石のひとつです。
今回はラピスラズリの基礎知識について。
星のような金の正体や、フェルメールが作品に用いたことで有名な顔料としてのラピスラズリの魅力をお届けします。
ラピスラズリの意味、和名は?いつの誕生石?
ラピスラズリの意味と和名
ギリシャ語で「裸石」を意味する「lepas」、アラビア語で「青」を意味する「lazaward」が語源となったラピスラズリ。
研磨することで宝石に、粉末にすることで顔料となる鉱物。
モース硬度は5〜5半で、等軸晶系の珪酸塩鉱物です。
ラピスラズリは単一の鉱物ではなく、ラズライト、ソーダライトをはじめとする複数の鉱物から成ります。
カラーバリエーションは深い青から緑がかった青まで。
どの鉱物が含まれているかで青の表情が変わるのも魅力ですね。
ラピスラズリの和名は「瑠璃(ルリ)」。
仏教において大切とされる七宝のひとつとしても知られています。
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石言葉
ラピスラズリの石言葉は「成功の保証」。
夜に旅する人の道しるべとして、または冥界への護符として副葬品とされることも。
ツタンカーメンの黄金のマスクも、目の周りを縁取った青にラピスラズリが用いられています。
12月の誕生石
ラピスラズリは12月の誕生石。
ターコイズやタンザナイト、12月の誕生石はさまざまな青が揃う月ですね。
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ラピスラズリには金が含まれている?ウルトラマリンとは
青と金のコントラストが美しいラピスラズリ。
華やかな金色の斑点の正体はパイライトと呼ばれるもので、金ではありません。
パイライト(黄鉄鉱)は金ではない
世界中の鉱山で産出する一般的な鉱物、パイライト。
じつは火山の多い日本でも産出します。
非常に整った形状の結晶は、磨かれたような光沢が特徴。
このパイライトが微細な結晶となり、ラピスラズリに含まれて印象的な表情に。
しかし、白い線が入ったものや、引き込まれそうに均一な青など、パイライトを含むものだけがラピスラズリではありません。
ルースにビーズなど、カットの方法によって出る模様もさまざまで、好みの模様の出方を探すのも楽しみのひとつ。
「フェルメール・ブルー」と呼ばれる顔料としてのラピスラズリ
研磨することで宝石へ、粉末にして「ウルトラマリン」と呼ばれる顔料となるラピスラズリ。
ヨハネス・フェルメールが愛した顔料としても知られています。
フェルメールの代表作のひとつ「真珠の耳飾りの少女(または「青いターバンの少女」)」にも用いられました。
1665年ごろに制作され、青が真珠の艶やかさをより引き立てているように思えますね。
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しかし、このウルトラマリン。
17世紀当時は金よりも貴重とされていたラピスラズリが主成分ということもあり、「天空のかけら」とも称されるほど。
フェルメールはそんな高級品のウルトラマリンを人物だけに限らず、椅子などの小物や下書きにまで使用したのです。
宗教画で用いられることが一般的だった高価な顔料を、風刺画や人物画に取り入れた点でも、当時の作品としては目をひくものがあったのではないでしょうか。
取り扱い時の注意点は?
硬度も低く、デリケートなラピスラズリ。
特に注意しなければいけないのは塩酸。
掃除用洗剤を代表とするクリーナーに塩酸が含まれていると、触れるだけでゼラチン化してしまいます。
そのため掃除の際、ラピスラズリのアクセサリーは必ず外しましょう。
また、ラピスラズリには偽物も多く出回っています。
粉末を練り固めたものや、他の鉱物と張り合わせたダブレットなど、天然と誤って購入しないように。
POINT
- 複数の鉱物から成るラピスラズリ
- 金ではなくパイライトが含まれることで印象的な見た目に
- 金よりも貴重だったラピスラズリの顔料「ウルトラマリン」
- デリケートな宝石なので、取り扱いは慎重に
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。