皆さんは「アスレジャー」という言葉を聞いたことはありますか?
おもにアパレルの世界でよく登場するので、筆者も聞いたことがなかったのですが、実は1990年代からあるジャンルなのだそう。
ふだん、通勤や特別なお出かけではなく週末や帰宅後などにどんな感じの服装で過ごしているか、思い浮かべてみて下ください。
「Tシャツにスウェットかな」
「暑いからカップ付きインナーだけ、下はジャージ」
それ、すでにアスレジャーかもしれません……!
今回は「アスレジャー」の意味や、いまなお世界中で広がり続けている理由、大人女性がアスレジャーをおしゃれに着こなすポイントなどを紹介します。
「アスレジャー」の意味と歴史
アスレジャーってどういう意味?
アスレジャーとは、英語の「Athletic(アスレチック)」つまり運動やスポーツと、「Leisure(レジャー)」つまり「遊び」を組み合わせた造語(Athleisure)です。
スポーツやフィットネス、キャンプなどアウトドアウェア向けのウェアや小物を、ふだんの生活でも身につけるスタイルをいいます。
近年は、洋服の大量生産・大量廃棄を見直して長く大切に着ようという動きや、古着の人気復活などサステナブルな流れもあり、売上が停滞しているアパレルブランドやメーカーも多いなか、アスレジャーは世界中で伸びている一大市場といわれています。
日本のアスレジャー市場についても、2032年には90億8,000万米ドルに倍増するという見通しも発表されているほど。
アスレジャーの歴史は意外と古い
はじめて「アスレジャー」という用語が使われたのは1990年代のアメリカといわれています。その後、今から10年ほど前の2015~2018年頃にもブームがあり、さらに2020年からのコロナ禍で再燃しました。
ステイホームが続く環境で、みんなが他人の目線より自分の心地よさが優先になったことで、ワンマイルウェアが必需品に。
キャンプや山歩きなど屋外のレジャーに行く人が増えてアウトドアブランドの人気も高まりました。
「ワークマン女子」という言葉が生まれたのもこの頃ですよね。
他にも、ジャージ素材のスーツが発売されるなど、人々は年々、洋服に見た目だけでなく快適さを求めるようになってきています。
スポーツブランドのウェアは動きやすさや快適さはやはり群を抜いているため、セレブにも愛用者が多く、SNSで身につけているのを見て取り入れる人も増えました。
さらに洗濯などのケアが簡単で、夏は汗がすぐ乾く、秋冬は軽く薄いのに温かい…といった高機能素材が使われているのも人気の理由です。
スポーツをしない人でも、この夏の暑さでは、ちょっとした外出もスポーツ並みだと思いませんか?
花火大会やフェスなど小雨の降りそうな場面でもすぐ乾くので、自然と手に取る回数が増え、気付けば毎日の服装が「アスレジャー」……という人も多いのではないでしょうか(筆者もその1人です)。
アスレジャーの代表的アイテム
アスレジャーで着られるアイテムといっても、ほとんどの人がすでに持っていそうなものばかりです。
- Tシャツ
- カップ付きのインナーやスポーツブラタイプの短丈タンクトップ
- ジョガーパンツ
- ジャージ
- レギンス
- スウェット(トップス・パンツとも)
- スニーカー
- ベースボールキャップ
zozoなどのファッションECサイトにも「スポーティー・アスレジャー」というカテゴリがあり、市民権を得ていることが分かります。
アスレジャーの代表的なブランド
ほとんどのスポーツブランド、さらにはインナーウェアのブランドなどもアスレジャーに該当する商品を発売していますが、とくに有名なブランドや、注目のブランドをいくつか紹介します。
▼NIKE(ナイキ)いわずと知れた超メジャーなスポーツブランドですね。
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▼adidas(アディダス)トレンドを席捲した3本ラインのスニーカーはこの夏もいまだ人気が衰えず。
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▼ATHLETA(アスレタ)(米国) GAPやオールドネイビー、BANANA REPUBLICグループのスポーツウェアブランドです。
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(※日本では、ブラジル発祥のスポーツブランドATHLETAがあります。)
また、以下のようなアウトドアブランドのウェアを日常に取り入れるスタイルは「アスレジャー」と「Earth(アース/地球)」をかけて「アースレジャー」と呼ばれたりもするそうですよ。
▼The North Face(ノースフェイス)
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▼Patagonia(パタゴニア)
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ヨガやワークアウトのウェアを街着にする女性が増えている
アスレジャーの「スポーツ・ワークアウト」のジャンルでも特に売れているのが、ヨガやピラティスのウェアです。
筆者はヨガではなく筋トレに通っていますが、仕事終わりでバタバタと駆け込むことも多く、できたら家からそのままのウェアで行けたら時短だし荷物も減るのでうれしいですよね。
とはいえ、そのまま外を歩くにはある程度のおしゃれさも欲しい…という女性から人気を集めているのが「ルルレモン」です。
ルルレモンは1998年に創業したカナダのブランドで、一説には創業者が「アスレジャー」の生みの親ともいわれています(本人は否定しているそう)。
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また日本にはショップは未上陸(通販のみ)ですが、アメリカを中心に人気のブランドが「alo」。
筆者はハワイが好きなのでよくYouTubeでハワイ旅行の動画を見るのですが、アラモアナセンターに行くと皆さんこぞって「alo」のショップに行っています。
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大人女性のアスレジャー・スポーツウェア着こなしポイント
ところで、アスレジャーというとかっこよく聞こえますが、
「Tシャツやパーカとスウェットにスニーカーだと、カジュアル過ぎて……」
「子どもの服装みたい…」
と思う方もいるのではないでしょうか?
たしかに、少し前には、40代以上の男性がパーカーを着ている姿が揶揄されたこともありましたよね。
何歳だろうと好きな服を着るのは大賛成なのですが、やはり「単にラクだから着ている」だけでは、アスレジャーと「だらしなく見える格好」は紙一重かもしれません。
これを回避するコツはいくつかあります。
ジャンルの違うアイテムと組み合わせる
以前にアスレジャーがトレンドとして取り上げられた2017年頃は、スニーカーとフェミニンなスカート、Tシャツにキャップとテーラードジャケットなどの「ミックスコーデ」が全盛でした。
一方、今の空気は「全身スポーツウェア」がかなりの人気です。
とはいえ、スポーツウェアでまとめてしまうのに抵抗がある人は、張りのある素材のシャツにジョガーパンツを合わせるなどのミックスコーデも全く問題ないです。
元祖・本家がある場合はそれを選ぶ
たとえばNIKE(ナイキ)のエアマックスシリーズのスポーツサンダルなどは、類似品が通販やファストファッションのショップで1/3くらいの価格で売られていますが、できれば本家を買うと、快適さも見た目の完成度も段違いです。
下は、筆者がこの夏購入した「OOFOS(ウーフォス)」のリカバリーサンダルです。
量販店でもそっくりな商品はあるのですが、底の柔らかすぎず固すぎず適度なムニムニとしたクッション性はウーフォスに遠く及ばず。
これは、大げさでなく、1歩歩くごとに足裏から幸福感が広がる…そんな感じで、思い切って買ってよかったものの1つになっています。
スポーツブランドのアイテムは、高価といってもハイブランドと比べると手頃なので、可能なかぎり本家を手に入れてみて下さいね。
身体の美しさも意識する
ヨガウェアが人気なことからも分かるように、現在のアスレジャーアイテムは、一部のストリート系をのぞき、比較的身体のラインが分かるものになっています。
モデルや10代20代のような体型である必要はまったくないですが、これらのアイテムはやはり姿勢が良い方が似合うので、猫背や巻き肩(両肩が前の方に傾いている姿勢)の人はできるだけ姿勢をよくすることを意識して、お腹もぐっと引っ込めて歩くと、同じ服でも格段に素敵に見えます。
POINT
- 「アスレジャー」とは、スポーツウェアを日常に取り入れたファッション
- ヨガブランドなどの快適でおしゃれなウェアが国内外問わず人気
- 大人女性が取り入れるなら、できるだけ品質のよいものを、姿勢よく着こなして
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フリーライター。新聞社や大手通販サイトにてファッション・ライフスタイル系記事を執筆中。幅広い世代の流行やトレンドから、自分を含めた大人女性が毎日のファッションにリアルに取り入れられるアイテムや着こなしのヒントを厳選してお届けします!