ジュエリーの基礎知識

【宝石の種類】ムーンストーン:意味と誕生月、シラー効果とは?

月の石というロマンティックな名にふさわしい輝きをもつムーンストーン(moonstone)
ルネ・ラリックが活躍したアール・ヌーヴォー期にムーンストーンを用いたジュエリーが流行してから約1世紀が経ちますが、現代でも多くの人びとの心を奪い続けています。

意味や誕生月、シラー効果フェルドスパーって?
今回はムーンストーンの基礎知識についてお届けします。

ムーンストーンの意味、和名は?いつの誕生石?

ムーンストーンの意味と和名

ムーンストーンの語源は、ギリシャ語で月を意味する「selene」。

月の光を閉じ込めたような輝きが夜道を照らす「旅の石」として、旅人のお守りにもされてきました。
カラーバリエーションは乳白色からグリーン、ピンク、オレンジ。

鉱物名は「天然オーソクレース」。
フェルドスパー(長石)グループのなかでシラー効果のあるオーソクレースムーンストーンと呼びます。

モース硬度は6〜6半で、単斜晶系の珪酸塩鉱物です。

ムーンストーンの和名は「月長石(げっちょうせき)」。
「月の輝きを宿しているような長石」と覚えると簡単ですね。

参考記事:宝石の和名が知りたい!名付けに役立つ宝石の名前や漢字のヒント一覧

石言葉

ムーンストーンの石言葉は「恋の予感」、「健康と幸運」。
ある国ではお守りとして、また別の国では未来を見通す力がある石としての伝承が残されています。

6月の誕生石

ムーンストーンは6月の誕生石
透明感のある輝きは、パールと合わせても映えそうですね。

関連記事:知っておきたい!誕生石の一覧と意味(石名の英語表記つき)

ムーンストーン特有の「シラー」。フェルドスパーって?

シラー(シーン)効果とは?

青白い月が写り込んだかのような輝きを内側から放つムーンストーン。
古代ローマでは、月の明かりが固まったものだと信じられていました。

ムーンストーンの内部に白に青の光が見えることを「シラー(シーン)効果」と呼びます。

研磨すると浮かび上がるこの輝きに心奪われる方も多いのではないでしょうか。
この輝きは「オーソクレース(正長石)」と「アルバイト(曹長石)」が交互に層になることで、光が反射し生まれるのです。
シラーとはドイツ語で「きらめき」を指すSchillerから。

近年ではシラー効果に似た効果を表す「ペリステライト」、虹色の輝きを示す「ラブラドライト」もムーンストーンとして販売されることもありますが、異なる鉱物であることを留意しておきましょう。

フェルドスパーの仲間たち

地球上にある岩石の約6割を占めるフェルドスパー(長石)。
フェルドスパーグループにはムーンストーン以外にラブラドライトサンストーンアマゾナイトといった宝石があります。

ラブラドライトの「ラブラドレッセンス」と呼ばれる虹色の輝きは、蝶の羽のような、あわび貝のような幻想的な輝き。

太陽のような輝きをもつサンストーン
オリゴクレースやオーソクレースといった鉱物に、ヘマタイトやゲーサイト、銅のインクルージョンを取り込み生まれる「アベンチュリン効果」が煌びやかな輝きを放ちます。

アマゾン川流域で発見されたアマゾナイトは、ブルーグリーンで表面のキラキラとした輝きがまるで水面のよう。
宮沢賢治が著書のなかでリンドウの花にたとえたことでも知られています。

取り扱い時の注意点は?

ムーンストーンは硬度が低く劈開が完全なので、圧をかけないように注意しましょう。
衝撃が加わると、薄く重なり合った結晶が剥がれ割れる恐れがあります。

超音波洗浄器はもちろん厳禁。
また熱にも弱いため、洗浄の際にはぬるま湯を使用してくださいね。

POINT

  • フェルドスパーグループのなかでシラー効果をもつものをムーンストーンと呼ぶ
  • サンストーン、ラブラドライト、アマゾナイトはムーンストーンの仲間
  • 劈開が完全なので衝撃に注意

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