ジュエリーの基礎知識

【宝石の種類】ラブラドライト:意味と英語名、レインボームーンストーンとの違いは?

太陽を閉じ込めたような、月の光を宿したような。
色を楽しむだけでなく、宝石の中にはさまざまな輝きを見ることができます。

ラブラドライト(labradorite)」もそのひとつ。
一見地味に見えるラブラドライトは光を当て角度を変えると表情が一変する、意外性のある宝石です。

今回は美しい閃光を放つラブラドライトの基礎知識についてお届けします。

ラブラドライトの意味。和名、石言葉は?

ラブラドライトの意味と和名

カナダの北東部、ハドソン湾に浮かぶラブラドール半島から産出したことからその名がつけられたラブラドライト。

1770年、ラブラドール・レトリバーの産地でもあるこの地で神秘的に輝く石が発見されました。

ラブラドライトの最大の特徴は、ダークトーン(または無色)の地色にさす虹色の遊色効果(イリデッセンス)
同じ遊色効果でもオパールのそれとはまた異なり、ラブラドレッセンスとも呼ばれます。

玉虫のように、角度によって緑に赤、青、黄と変化。
ゴールドやシルバーのように見えることもあり、いつだって眺めていたくなるような魅力をたっぷりと含んでいます。

「アゲハチョウの羽」「アワビ貝の光沢」といった、独特な閃光を放つものに例えられます。

モース硬度は6から6半、三斜晶系の珪酸塩鉱物。
長石の一種であり、アマゾナイトやサンストーン、ムーンストーンの仲間。

劈開は二方向に完全

ラブラドライトの和名は「曹灰長石(そうかいちょうせき)」。
曹長石と灰長石の中間の鉱物とされ、二つを合わせた「曹灰長石」と呼ばれます。

基本的には青色や深い灰色を示しますが、無色や白も産出。

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ラブラドライトの石言葉

ラブラドライトの石言葉は「思いつのる」。
「月と太陽を象徴する石」と信じられてきました。

月のような静かでシャープな光と、太陽のような力強い光。
二つの光の後押しで、「思い」の力を強くしてくれそうですね。

スペクトロライトとは?ムーンストーンとの違い

ラブラドレッセンスを活かすため、カボションやビーズカットを施されるラブラドライト
層をうまく利用したカメオなどの彫刻は、ほかの鉱物にはないユニークさに目を奪われます。

高品質なラブラドライト、スペクトロライト

ラブラドライトの中に、スペクトロライトと呼ばれるものがあります。
地色は黒で、虹色の遊色効果をよりいっそう強く感じることができるのです。

その七色の強さから分光スペクトルの「スペクトル」に、石を表す「ライト(またはアイト)」を足してスペクトロライトと呼ばれるのですね。

フィンランドのユレマ地方で産出し、ラブラドライトの中でも高品質。

アデュラレッセンスとラブラドレッセンスの違い

ラブラドライトの地色は層の厚さにより決まります。
二つの長石が交互に重なり合い、そこに光という要素が加わることでラブラドレッセンスが生じるのです。

地色は基本青色や深い灰色で、無色や白のバリエーションもあると述べました。

そこで気になるのがムーンストーンとの違い。
地色が無色や白であれば、どう見分けられるのでしょうか。

例えばレインボームーンストーン。
艶やかな透明に七色の輝きの宝石は、実はムーンストーンではありません。

正体は無色のラブラドライト
地色が無色でラブラドレッセンスを持つものがレインボームーンストーンとして流通しているのです。

ムーンストーンはラブラドライトの仲間ですがラブラドレッセンスではなく、白や青のシラーを放ちます。

これはアデュラレッセンスと呼ばれ、ムーンストーンに見られるためムーンストーン効果と呼ばれることも。

取り扱い時の注意点は?

圧に弱くもろいため、保管時はもちろん着用時にも衝撃を避けてください。

また、ラブラドライトは熱に弱い性質を持っています。
直射日光が当たり続けるなど高温になる場所を避けて保管することをおすすめします。

超音波洗浄器は厳禁。

POINT

  • レインボームーンストーンの正体は、地色が無色のラブラドライト
  • ムーンストーンは白や青のシラーを放つアデュラレッセンス、ラブラドライトは虹色のシラーを放つラブラドレッセンスを示す
  • 衝撃や熱に弱い性質のため、着用時・保管時には細心の注意を払う

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