コラム

映画「ファッション・リイマジン」。サステナブルファッションの裏側を学ぶ旅

いま私たちの着ている服はどこでどう作られているの?

服を着るすべての人に見てほしい映画『ファッション・リイマジン(FASHION REIMAGINED)』(2022年・イギリス映画)。サステナブルファッションの裏側を描いたドキュメンタリーです。

いつもは映画の「衣装」についてコラムを書いている当サイトですが、この映画が扱っているのは現代のファッション産業そのもの。内容と見どころをご紹介します。

「ファッション・リイマジン」とはどんな映画?

2017年、英国ファッション協議会とVOGUE誌による英国最優秀新人デザイナーに選ばれたエイミー・パウニー。ブランド<MOP(マザー・オブ・パール)>のクリエイティブディレクターです。

大量生産ファッションに危機感を抱いていたエイミーは、新人賞で獲得した10万ポンドを元手に、原料や製造プロセスをサステナブル化することを決意します。

業界を変える革新的なサステナブル・コレクションは可能なのか?

コレクション発表まで18ヵ月というタイムリミットの中、理想の素材を求めて地球の裏側まで行くエイミー達を追う、出会いと挑戦と情熱に満ちたドキュメンタリーです。監督はベッキー・ハトナー。

「ファッション・リイマジン」の見どころ

「知る」ことからはじまるサステナビリティ(持続可能性)

1980年代と比べて、人々は3倍以上の服を購入して、着る期間は半分になっている…

21世紀以降のファストファッション全盛、大量生産・大量廃棄…何となく知っていても、実態はなかなかつかみにくいファッションの裏事情。

そこへ具体的な数字やさまざまな現場の映像で、私たちにリアルな問題を提示する映画「ファッション・リイマジン」。

この映画の主なパートが撮影されたのは2017~2018年。
社会に環境問題への危機感はあっても、ファッション産業はまだそこまで具体的な解決策には取り組めていませんでした。

「ファッション・リイマジン」は、まさに社会意識が大きく変わる過渡期のものづくりの裏側をとらえた貴重なドキュメンタリーといえます。

振り返れば当サイト・ヒカリモノガタリで「サステナブル」を大きく取り上げたのが2019年(2020-21AWのトレンド展望記事)でしたね。

【2020-2021AWトレンド】サステナブル・ファッションの時代が本格化⁈

2019年の夏にG7で環境への影響削減を実践すべく「ファッション協定」が発表され、同年のプルミエールビジョン(ファッション素材の世界規模の展示会)のテーマにも「サステナブルファブリック」が大きく掲げられるようになったのです。

エイミー達の行動力とリアルな表情に惹き込まれる

とはいえ映画「ファッション・リイマジン」は、堅苦しい映画ではありません。

時代の先駆者であるエイミーと商品開発のクロエの、シンプルな疑問と行動力に惹き込まれる映画。

その信念と情熱的な行動力に、おそらく監督のベッキー・ハトナー自身も惹きつけられたのでしょうし、その実践的なアプローチがファッション業界や社会にも大きな影響を与えることに。

ふたりのリアルな表情、不安、緊張、そして笑顔…。

素材調達からデザイン、展示会にコレクションと、ピンチを乗り越えるビジネスストーリーでもある本作は、新しくブランドを立ち上げたり、ものづくりに関わる人ならきっと共感し感銘を受けるに違いありません。

 

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世界を旅するロードムービーとしての魅力

私たちが手にする「一着」には、どれだけ多くの人と国が関わっているのでしょうか。「ファッション・リイマジン」は、世界を旅するロードムービーとも言えます。

美しい各地の風景から、ファッション産業を支えるさまざまな世界を訪れる映像も興味深い本作。

そしてエイミー達と生産者が出会いながら信頼関係を築いていく過程は、事実がそのままドラマのよう。
地球の反対側に住んでいるけれど、生地も、絆という糸もつながった、ウルグアイのペドロと英国のエイミー!

 

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「ファッション・リイマジン」と、できることからの一歩

環境に優しいって?買わないのがいいの?でもやっぱりおしゃれもしたい、新しい素敵なものがほしい!という気持ちも本当、どうすればいい?

サステナブルファッションはどこで折り合いをつけるかがとても難しいですよね。

過剰な大量生産の見直し、トレーサビリティ(商品の生産から消費までの過程を追跡すること)重視、サステナブルな新素材の開発、古着の活用など、少しづつ社会は変わってきていますが、まだまだという点も多い現状。

エイミーもサステナブル・ラグジュアリー・ブランドを両立させるために(きっと今も)挑戦の連続。
でも、不安でも苦しくても理想や夢に向かって行動する、その生き方は人を強靭にしていくのだな、と改めて感じ入りました。

ものづくりの過程を知るほどに、目の前の一着もより愛おしくなるし、自分のおしゃれやライフスタイルを見直すことにもつながります。答えはきっと、人それぞれ。

世界を一気に変えることは難しくても、できることや自分なりに挑戦してみることはきっとあるはず。

この映画を観て学ぶこと、現状を知ることがまずサステナブルファッションへの一歩なのかもしれないですね。

 

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POINT

  • 映画「ファッション・リイマジン」はサステナブルファッションの裏側を描いたドキュメンタリー
  • エイミー達のシンプルな疑問と行動力に惹きつけられる
  • 地球の裏側まで旅をしながらファッション産業と環境の問題のリアルを学ぼう

筆者も元々繊維業界出身で、今もものづくり側にも関わっているので、非常に興味深いドキュメンタリーでした。自分たちもこの分野は模索の中ですし、世界がどう変化していくのかこれからもトピックをお伝えしていければと思います。