ジュエリーの基礎知識

【宝石の種類】クリソプレーズ:意味と和名、最高級のグリーンカルセドニー

プレナイトはブドウ、ガーネットはザクロ。
時に、宝石の瑞々しさや色味は果物にたとえられます。
クリソプレーズ(chrysoprase)」もそのひとつ。

青リンゴのような爽やかな緑は、春夏の暖かな季節に映えますね。
ビーズやカボション、カメオとさまざまなカットで色と艶を楽しむ宝石です。

今回はクリソプレーズの基礎知識についてお届けします。

クリソプレーズの意味、和名、石言葉は?

クリソプレーズの意味と和名

ギリシャ語で「金の」「黄金色の」を意味する「khrusos」が語源の「クリソ(chryso)」。

同じくギリシャ語で「ポロネギ(古代エジプト時代から栽培されているネギ)」を意味する「prason」は、「緑石英」を表すプレーズ(praze)へと変化。

「緑石英」は直訳するとグリーン・クオーツです。

二つの言葉を合わせると「黄金色の緑石英」となり少し混乱してしまいますが、淡い緑だけでなく黄緑色のクリソプレーズも存在します。

淡い緑の印象が強いクリソプレーズですが、名付けた人は黄緑色のクリソプレーズを手に取ったのかもしれませんね。

モース硬度は7。
日常使いの宝石の硬度は7以上が望ましいとされるため、クリソプレーズはジュエリーに適した宝石といえるでしょう。

六方晶系ないし三方晶系の酸化鉱物。

クリソプレーズの和名は「緑玉髄(みどりぎょくずい)」。
玉髄は英語でカルセドニーを意味します。

関連記事:宝石の和名が知りたい!名付けに役立つ宝石の名前や漢字のヒント一覧

クリソプレーズの石言葉

クリソプレーズの石言葉は「豊かな実り」。
実りの秋に収穫時期を迎える青リンゴにぴったりの石言葉ですね。

5月の誕生石(イギリス)

日本ではエメラルド、翡翠が5月の誕生石
イギリスではエメラルドとクリソプレーズが5月の誕生石として制定されています。

参考記事:知っておきたい!誕生石の一覧と意味

クリソプレーズの色の秘密とアメシスト、シトリンとの違い

古代ギリシャ時代から工芸品としても加工され、使用されていたクリソプレーズ。
強運と勝利をもたらすと信じられ、かのアレクサンドロス大王の胸にも飾られたと伝えられています。

ニッケル由来のアップルグリーン

半透明のカルセドニーの中で最も高価とされているクリソプレーズ
最高品質のクリソプレーズはオーストラリアのクイーンズランドで産出します。

上質な翡翠と似ているため、「オーストラリアン・ジェード」というフォルスネームがつけられています。

オーストラリア以外の産出地はブラジル、アメリカカリフォルニア州、ロシアのウラル鉱山。

ゼリーのような、透明感とツヤ感があるグリーンはニッケル由来

グリーンの宝石の多くはクロム(エメラルド)やバナジウム(ツァボライト・ガーネット)、鉄(グリーン・トルマリン)が混入することで緑色となります。

結晶生成時に微量のニッケルが入り、つやつやとしたクリソプレーズ特有のグリーンに。

他の多くの鉱物と同様、純粋な状態では無色のカルセドニー。

鉄イオンが入るとカーネリアン。

たくさんの不純物が入るとジャスパーに。
ジャスパーのうち、緑地に赤い斑点を示すものはブラッドストーンと呼ばれます。

単結晶のクオーツと多結晶のカルセドニー

石英の一種であるカルセドニー。
しかし、アメシストやシトリンほどの透明感はなく、模様や色に価値が置かれる傾向にあります。

クオーツとカルセドニーとの大きな違いは、結晶が肉眼で見えるかどうか

鉱物は肉眼で結晶の形が確認できる「単結晶」、いくつもの結晶が集まってできた「多結晶」、結晶ではない固体を「非晶質」 と分類されます。

アメシストやシトリンは「単結晶」。
ダイヤモンドやルビーも単結晶です。

カルセドニーは「多結晶」。
その中でも顕微鏡を用いてやっと確認できるほどの微細な結晶の集合体であり、潜晶質(または隠微晶質)と呼ばれます。

他の鉱物ではターコイズも潜晶質に分類されます。

つまり、クオーツとカルセドニーは主成分は二酸化ケイ素(SiO2)と呼ばれるものですが、結晶の形が異なるのです

単結晶でも半透明な鉱物はありますが、その多くは不純物の混入(インクルージョンなど)によるもの。

そのため、そもそも微細な結晶の集まりである潜晶質のカルセドニーの半透明とは種類が違うのですね。

取り扱い時の注意点は?

クリソプレーズは紫外線によって退色のおそれがあるため、長時間太陽光を当てないように心がけましょう。

保管時も他の宝石同様、直射日光を避けて保管してください。

カルセドニーは染色可能な鉱物です。
クリソプレーズの染色は多いとはいえませんが、色にムラがあったり何か不審だなと思う点があれば確認をおすすめします。

POINT

  • イギリスで5月の誕生石に制定されているクリソプレーズ
  • 青リンゴのような透明感のあるグリーン色は微量のニッケルによるもの
  • クリソプレーズは多結晶で、潜晶質と呼ばれる微細な結晶の集まりから成る鉱物
  • 紫外線で退色の恐れがある。直射日光に長時間晒さないよう気をつけて身につけること

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