ジュエリーの基礎知識

【宝石の種類】翡翠:意味と誕生月、ジェダイトとネフライトの違いとは

2016年、日本の「国石(こくせき)」として定められた翡翠(jade)
古代より愛されている、神秘的な魅力を秘めた翡翠についての基礎知識をお届けします。

翡翠の意味と誕生月は?英語でなんという?

翡翠の意味と英語表記

翡翠(ひすい)という名は、古代中国で鳥の「カワセミ」を指す言葉でした。
翡は雄、翠は雌を指しており、宝石としての翡翠の美しさは、カワセミの羽とお腹の鮮やかな色にたとえられたのです。

翡翠の代表的な色といえば緑ですが、赤や青、黄、紫などもあり、カラーバリエーションは豊富。
ナトリウムとアルミニウムを含む鉱物で、硬度6.5〜7の造岩鉱物です。

また、翡翠は英語でジェード(jade)と呼ばれています。
ラテン語で「脇腹・腰」を意味する「ilia」から派生し、スペイン語で脇腹の痛みを表す「pedrade ijada」へと変化。

これは、翡翠をお腹にあてると腹痛に効くと信じられていたことが由来となっています。

石言葉

「健康と繁栄」。
身につけることで災いから身を守ると信じられていました。

中国では「玉(ぎょく)」といって、王様が持つにふさわしい価値のある宝石として重用されていたのです。

誕生月

翡翠はエメラルドと同じく5月の誕生石
エメラルドと異なる点は、ほかの国の誕生石には制定されておらず、日本だけで制定された誕生石であるということ。

翡翠は日本でも産出する宝石のひとつであり、遺跡から勾玉が出土したりと古くから用いられてきました。
そんな日本人に親しみ深い宝石だからこそ、誕生石に制定されたと考えられています。

参考記事:知っておきたい!誕生石の一覧と意味

翡翠には2種類ある?ジェダイトとネフライトの違い

ジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)


▲故宮博物院で展示された翡翠(ジェダイト)の原石

じつは、ジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)、鉱物学的に異なる2種類の鉱物をまとめて翡翠(ジェード)と呼んでいます。

見た目では区別することが難しいことから、長年同一の鉱物であると考えられてきたのです。

別種であることが判明したのは1863年になってから。
日本では、一般的に翡翠といえばジェダイトを指します。

硬玉と軟玉というだけあって、モース硬度にも違いがあります。

  • ジェダイト(硬玉):6.5〜7
  • ネフライト(軟玉):6〜6.5

ネフライトはジェダイトよりも柔らかいといった性質を持ちますが、靭性はどちらも高いです。

鉱物名は「天然ジェダイト」と「天然アクチノライト-トレモライト」です

参考記事:宝石の「靭性(じんせい)」って何?靭性と硬度の違いは?

宝石として価値のある翡翠はどっち?

一般的に宝石として価値が高いのはジェダイトとされています。
緑色が濃く、透明度が高いものはインペリアル・ジェード、または琅玕(ロウカン)と呼ばれ、日本で「本翡翠」と呼ばれるのもジェダイト。

しかし、中国では最上級のネフライトはジェダイトよりも尊ばれることも。
たとえば、中国にある博物館「故宮博物院」にある玉器のほとんどはネフライトといわれているほど。

このように、国や時代によって翡翠の価値は異なるものだと認識しておきましょう。


▲故宮博物院に展示された宝物。クレジットは「Pale green Jade」

購入時の注意点は?

翡翠を購入する際には、注意する点がいくつかあります。

まず、「染色された翡翠に気をつける」こと。
色を濃くして琅玕にみえるよう加工された翡翠には、元の価値以上の価格がつけられます。

知って購入するならまだしも、「天然の琅玕」と誤って購入しないよう注意しましょう。

また、ガラスや樹脂、ほかの石を加工し翡翠にみせかけたものもあります。
「〇〇翡翠」といったフォルスネームがつけられていることもあるので、購入時には確認が重要です。

POINT

  • 翡翠にはジェダイトとネフライトがある
  • 最高品質の翡翠は「琅玕(ロウカン)」と呼ばれる
  • 一般的にはジェダイト(硬玉)の価値が高いが、時代や国により価値は異なる

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