ジュエリーの基礎知識

シュガーローフカットとは。由来やカットの特徴、カボションとの違いは?

ファセットカットにカボションカット。
宝石のカットは種類によりさまざまな名前がつけられています。

たとえばカボションはフランス語で頭を意味する「caboche」から。
カボションのつるんとした見た目から頭の形を想像するのは難しくありませんね。

では、シュガーローフカットといえばどんな形を思い浮かべるでしょうか。

今回はシュガーローフカットについて。
どのあたりがシュガー?ローフとは?

色石の魅力を引き立たせるユニークなカットについてお届けします。

シュガーローフの意味とカボションカットとの違い

 

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シュガーローフの由来

「シュガー(sugar)」は砂糖、「ローフ(loaf)」には大きなひとかたまりのパンという意味があり、「シュガーローフ」で円すい形帽子、すり鉢山を意味する単語となります。

シュガーローフカットはその特徴的な形から名付けられました。

ではなぜシュガーローフと呼ばれるのでしょう。

現在、砂糖の形といえば多くの人が思い浮かべるのは角砂糖。
しかし、19世紀終わり頃まで砂糖といえば特徴的な円すい型の塊でした。

とても硬く、丸ごと使用するか専用の器具で細かく削る必要があります。

今でも販売されていますが一般家庭ではあまり見かけないため、知らないという方も多いのではないでしょうか。

シュガーローフカットとカボションカット

 

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厚みをどう取るか、どの角度でカットするとより魅力を引き出せるのか、宝石ひとつとっても適したカットは異なります。

関連記事:宝石の「ルース」とは?英語でどう書く?原石からカット、加工の流れ

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ファセットカットは宝石の表面光沢、内部からの輝きを得ることを目的として細やかなカットが施され、ダイヤモンドのブリリアントカットは原石の状態とは見違えるような輝きを放ちます。

対してカボションカットは表面の艶感、宝石の持つ色を活かすことを目的としています。

そのカボションカットの一種であり、アンティークカットのひとつに数えられるシュガーローフ

シュガーローフカットは通常ピラミッドのように底面が四角形、四つの面を持つ高いドーム型と定義されていますが、底面が三角形や楕円のシュガーローフカットも存在します。

ではスタンダードなカボションとシュガーローフはどう異なるのでしょうか。
違いは大きくふたつ。

 

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まずは宝石のトップ部分に注目
通常、カボションはドーム型であり頂点に当たる部分に面や角がないのに対し、シュガーローフは丸い角や頂点が認められます。

 

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もうひとつは面の数
底面が真円・楕円を問わず、半球のような形をしているのがカボション。

明瞭でなくても底面の角の数に応じた面が付いているのがシュガーローフカットと呼ばれています。

必ずしもふたつを兼ね備えているわけではなく、頂点は認められるけれど面はひとつといった円すい型のシュガーローフもあります。

シュガーローフカットの種類

特定の効果を強調するカボションカット。

スター効果にシャトヤンシー、遊色効果にシラー効果も。

もちろん高さにもよりますが、シュガーローフはサイドから見た時のボリュームもあるため、これらの効果をより楽しめる傾向にあります。

サファイアにオパール、エメラルドにトルマリン。
色石の魅力により浸ることのできるシュガーローフは、底面の形により印象を変えます。

ピラミッド型

 

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底面が四角形、頂点に向かって辺がのびるピラミッドのような形はショーメ(CHAUMET)やフレッド(FRED)で採用されている、比較的目にする機会の多いシュガーローフカットではないでしょうか。

スタッズのようなフォルムはシャープで、カボションとはまた異なる雰囲気を楽しめますよ。

 

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柔和な印象のパールもよりモダンな雰囲気に。

トリリアント(トライアングル)型


ピラミッド型よりも見かける機会は少ないものの、スタンダードなカボションカットではあまり見かけないのがトリリアント型

ペリドットのグリーンもどこかユニークな印象に映りますね。

サークル、オーバル型


いわゆる円すい型と呼ばれるのは底面がサークル型、もしくはオーバル型。
辺がないため、スタンダードなカボションと一番見た目は似ています。

透明石も素敵ですが、不透明石のミステリアスな雰囲気や宝石の模様・柄を堪能するのもおすすめ。

シュガーローフカットはリング、ネックレスのほか、小さめならスタッズピアスとして身につけるのも良いですね。

スタンダードなカボションとは異なる魅力を秘めたシュガーローフ
オパールの遊色、アクアマリンの透明感など、その宝石の持つ特性をより楽しみたい方へ贈りたい選択肢のひとつ。

今までカボションカットのジュエリーは手に取ってこなかったという方も、一度試してみてはいかがでしょうか。

POINT

  • 宝石本来の持つ色の魅力と量感を楽しめるシュガーローフカット
  • 19世紀末まで砂糖は円すい状の塊として販売されていたことが名前の由来
  • スタンダードなカボションカットとの違いはトップの有無と面の数
  • おもにピラミッド型、トリリアント型、サークル・オーバル型がある

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