海の青に映える鮮やかな宝石、珊瑚(さんご)。
誕生石にも制定され、日本人にとっても身近な宝石のひとつ。
じつは鉱物ではなく、また植物でもないといったことはあまり知られていません。
珊瑚の意味から英語名、宝石としての珊瑚ができるまで。
世界中の人々に愛されている珊瑚についての基礎知識をお届けします。
珊瑚の意味と英語表記は?いつの誕生石?
珊瑚の意味と英語表記
ギリシャ語で小さな玉石を表す「korallion」が語源となった珊瑚。
ギリシャ神話にも登場するほど古くから親しまれ、かつては地中海から奈良時代の日本にシルクロード経由で渡ってきました。
現在では日本でも採れる数少ない宝石のひとつであり、八丈島近海や小笠原近海が主な産地です。
素材名は「天然さんご」。
本珊瑚や宝石珊瑚とも呼ばれ、宝石的価値のない石珊瑚とは区別されます。
モース硬度は3半。
珊瑚は英語で「coral(コーラル)」。
ファッションやメイクで用いられる「コーラルカラー」も珊瑚の色が由来です。
石言葉
珊瑚の石言葉は「幸福」「長寿」「知恵」。
水夫が嵐を鎮めるためのお守りとして身につけたり、魔除けにも用いられました。
開運のお守りとして、赤い珊瑚ジュエリーを贈ることもあります。
3月の誕生石
珊瑚はアクアマリンと並ぶ3月の誕生石。
アメリカやイギリスなどでは誕生石として制定されておらず、良質な珊瑚が採れる日本ならではの誕生石といえますね。
参考記事:知っておきたい!誕生石の一覧と意味
珊瑚は動物?どうやって宝石になる?
本珊瑚と石珊瑚
宝石の多くは鉱物ですが、珊瑚は真珠や琥珀と同じ有機物からできる宝石。
「珊瑚は生きている」という言葉があるように、知っている方も多いのでは?
しかし、珊瑚は植物か動物、どっち?と聞かれると驚いてしまいますよね。
じつは珊瑚は植物ではなく動物なのです。
厳密にいえば珊瑚虫、英語でコーラル・ポリプというイソギンチャクに似た生物によって作られるのが珊瑚。
珊瑚虫は多数集まりコロニーを形成。
その際に分泌される石灰質で樹枝状の珊瑚が作られるのです。
また、珊瑚にはたくさんの種類があり、宝石質の珊瑚は私たちが思い浮かべる白いサンゴ礁とは別種のもの。
本珊瑚は「八放珊瑚(はっぽうさんご)」で、サンゴ礁を形成する石珊瑚は「六放珊瑚(ろっぽうさんご)」。
触手の数が8つなら八放、6つなら六放と呼ばれます。
※六放珊瑚類は6つだけでなく、その倍数の触手をもつ珊瑚も含まれます
八放珊瑚の主成分は真珠の外側と同じ炭酸カルシウムで生成されているため、研磨することでツヤが出るのが特徴です。
カラーバリエーションは本珊瑚は赤にピンク、白。
石珊瑚には黒や青があります。
価値が高い珊瑚「血赤」と「エンゼル・スキン」
珊瑚の色は赤から白までグラデーションになっており、たとえば赤なら、濃い赤からピンク味のある赤まで、好きな色合いの赤を選べます。
好みによって色の濃淡を選べる珊瑚ですが、なかでも「血赤(ちあか)」や雄牛の血を意味する「オックス・ブラッド(ox blood)」と呼ばれる真っ赤な色は、その希少性からも最も高価な珊瑚として尊ばれてきました。
一方、ヨーロッパで人気があったのは「エンゼル・スキン(angel skin)」と呼ばれるピンク色。
現在では日本でも華やかなピンクの珊瑚は人気がありますが、少し前まではあまり評価が高いとはいえませんでした。
中間的な色合いの淡いピンク色は「本ぼけ」「ぼけ」とも呼ばれ、価値が低いものと認識されていたのです。
イタリアの珊瑚商が「これはぼけた色」だといって安価で買い取り、ヨーロッパで「エンゼル・スキン」として流行。
この時期にたくさんの「エンゼル・スキン」が国外へ流出したと言われています。
珊瑚の購入時、取り扱い時の注意点
購入する際には、血赤に見せかけられた人工着色には注意。
色むらや斑点、亀裂も必ずチェック。
また、珊瑚には「むし孔」と呼ばれる小さな孔があり、天然特有の証。
しかし、ホコリや汚れが入るのを防ぐために、樹脂や珊瑚の破片で充填されることもあるため、それだけで判断はできません。
珊瑚は熱や酸、油脂に弱いため取り扱いは慎重に。
着用後は必ずセーム革(鹿のなめし革)などの柔らかい布で汚れを拭き取りましょう。
POINT
- 珊瑚は鉱物・植物ではなく動物が生み出す宝石
- 宝石になる珊瑚は少なく、「八放珊瑚」が本珊瑚と呼ばれる
- 「血赤」と「エンゼル・スキン」と呼ばれる珊瑚が高価
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。