コラム

朝ドラ「カムカムエヴリバディ」衣装:安子(上白石萌音)が可愛い!稔(松村北斗)の家業に注目!

「朝ドラ」ことNHKの連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(月~土曜朝8時~他)。

「ラジオ英語講座」とともに生きた、3人のヒロインが織りなす100年のストーリーです。

ドラマはまず初代ヒロイン・橘安子(たちばなやすこ・上白石萌音さん)の人生をたどっていきます。

安子のファッションが可愛い理由は?また雉真稔(きじまみのる・SixTONESの松村北斗さん)の家業のポイントは?

今回は三世代のヒロイン(上白石萌音さん・深津絵里さん・川栄李奈さん)と、初代ヒロイン・安子の衣装、繊維産地・岡山の特性まで「カムカムエヴリバディ」の衣装についてひもときます!

昭和から令和へ…キービジュアルに見る三世代のヒロイン像

三世代100年…時代の変遷をあらわす「襟元」と「足元」

「カムカムエヴリバディ」は三世代100年の物語。

キービジュアルは、本来同時にはいない三人を、家族や家系図を象徴する「木」に登らせたユニークなアイディア。
時代の特長とキャラクターの個性を出しつつ全体の雰囲気はまとまるように…という難しい課題を、衣装のニュアンスでも非常に上手に表現していると感じます。

さりげなく三人の個性と時代感のキーになっているのが、「襟元(えりもと)」と「足元」!

【襟元】

  • 上白石萌音さん:洋装黎明期の手作りワンピース、ラウンドカラー(丸襟)
  • 深津絵里さん:’50~’60s頃の女優風ワンピース、オープンカラー(開襟)
  • 川栄李奈さん:Tシャツコーデ、クルーネック(丸首型)

【足元】

  • 上白石萌音さん:木に赤い鼻緒の下駄
  • 深津絵里さん:茶色の革靴
  • 川栄李奈さん:布製のスニーカー

素材感や形が時代の特長を端的に表しているのが面白いですね。また三人の性格もどことなく感じられて心惹かれるキービジュアルです。

安子(上白石萌音)の淡い花柄の衣装が可愛い!

安子の生きた昭和レトロを花柄テキスタイルで柔らかに再現

初代ヒロイン・和菓子屋の娘の安子(上白石萌音さん)の物語は1939年、女性にも洋装が普及していった昭和初期が舞台。

既製服ではなくオーダーメイドや手作りの時代ですので、例えば衿やカフスに別布をあしらうのも実用・デザイン両面で人気でした。

今回は、日にあたったような淡く柔らかいパステルトーン、細やかな花柄プリント中心で、当時の昭和レトロテイストを丁寧に再現した衣装が特長的。
安子らしい、素朴で柔らかな可愛さがあふれるファッションに!

印象的なイエローグリーンの柄ワンピースの生地は、水彩画家・テキスタイルデザイナー伊藤尚美さんの nani IROのオリジナルテキスタイル「BIRDS EYE」。

鳥の目からみた日の当たるこの世界を描いたような柄、繊細で美しいですね。

稔に自転車を教えてもらう時の安子の赤系の花柄ワンピースも、胸元に細かいピンタックが入って、可愛く凝ったデザインでしたね。

花柄生地は、英国の老舗百貨店LIBERTY(リバティ)の生地・リバティプリントも多く使われているようです。
こちらのブラウスの柄はD’anjo(ダンジョ)、1930年代のコレクションを元にした繊細な柄。


リバティは1930年代の柄を復刻したりして現代にも展開しているため、「カムカムエヴリバディ」当時の雰囲気を今の感覚でも想像できます。時を超えて同じ柄でおしゃれできるのは楽しいですね!

稔(松村北斗)の実家は繊維業。「岡山といえば制服」の理由は?

「岡山といえば制服」の歴史に注目

さて、安子の人生に大きく関わりそうな雉真繊維(きじませんい)の稔(松村北斗さん)・勇(村上虹郎さん)兄弟。

雉真繊維は足袋(たび)から制服を扱うようになった企業。

今でも「岡山といえば制服」、小学校でも制服を着ている県としても有名ですよね。

調べてみると、岡山はもともと温暖な気候から綿花の栽培に適し、江戸時代から真田紐や帯地などを生産していたそう。明治時代、ミシンを導入して足袋の製造が盛んになりました。

しかし大正末期には和装から洋装への転換で足袋の需要が激減。

そこでなぜ足袋から制服?と思ったところ、足袋の「裁断」と「厚手の生地を縫う」技術が、厚地の制服を作る技術にうってつけだったのだそうです。面白いですね。

実は現代、日本の衣料品はほとんどが海外縫製!国内比率はわずか2~3%(数量ベース)。そんな中、頑張っているのが岡山県なのです。
学生服などの制服やユニフォーム、デニム…私たちがどこかで必ずお世話になっている衣料品ばかり。「カムカムエヴリバディ」で国内屈指の繊維産地・岡山も盛り上がっているのでは?

ドラマでは、まさに制服事業に転換して成功、軍服の受注も取れて大発展期の雉真繊維。
英語を学び、海外に家業を拡大したい…稔の夢がどうなっていくのか、歴史を知る我々は切ない不安でいっぱいですが、それでも「いま」を懸命に生きて光輝く稔と安子の青春を応援していきたいです!

POINT

  • 朝ドラ「カムカムエヴリバディ」は100年の物語。三世代を衣装のニュアンスでも表現
  • 安子の衣装は昭和初期の洋装。手作り感や現代でも楽しめる可愛い柄に共感
  • 「制服といえば岡山」には長い歴史あり。今後の時代変化にも注目!

ところで、今後鍵となる「カムカムエヴリバディ」の歌、ある歌の替え歌なのはご存じでしょうか?

実は第1話で、子供の安子は初めて家にやって来たラジオから流れる「証城寺の狸ばやし」を歌っているのですよね!

また第4話で登場したルイ・アームストロング日向(ひなた)の道を(On the Sunny Side of the Street)」…これも三世代に連なる大切な歌になりそう(ヒロイン達の名前をチェック)!

タイトルなどのキーカラー・オレンジ色、オープニングのペーパークラフトも、日向の道を歩いていく三世代…を感じます。

物語の展開とともに、衣装はもちろん、光を大切にする映像が美しい美術、音楽の力、そして「英語」が持つ未知の世界への好奇心、解放感…時代とともにどう描かれるのでしょうか。
丁寧に、かつテンポ良く紡がれている朝ドラ「カムカムエヴリバディ」、毎朝の励みになりそうです!

NHK「カムカムエヴリバディ」公式サイト

【あわせて読みたい】和装から洋装への歴史、昭和のモガ・モボについては朝ドラ「エール」の記事に詳しく書いたので参考にしてみてくださいね。

朝ドラ「エール」衣装に注目!窪田正孝・二階堂ふみの「モボ・モガ」時代