コラム

朝ドラ「舞いあがれ!」衣装:エポーレットとは?舞(福原遥)と仲間のユニフォーム

「朝ドラ」ことNHKの連続テレビ小説「舞いあがれ!」(月~土曜朝8時~他)。空を飛ぶ夢に向かうヒロイン・岩倉舞福原遥さん)の物語です。

飛ぶことに魅せられる舞。五島のばらもん凧、手作りの飛行機、そして大学で航空力学を学びつつ「なにわバードマン」の人力飛行機作りからパイロットの道へ…!

今回は舞の航空学校の制服のポイント、ユニフォーム、そして…「舞いあがれ!」の衣装についてひもときます。

エポーレットとは。航空学校の制服の凛々しさ

パイロットシャツの特長、エポーレットとは?

航空学校で訓練に取り組む“岩倉学生”こと舞。ネイビーのスーツにネクタイと、凛々しい制服が印象的です。

特に「パイロットらしい!」と感じるのはこのシャツではないでしょうか。


パイロットシャツ」と呼ばれるこのシャツは、肩のエポーレットや両側の胸元のフラップポケットといったディテールが特長です。

エポーレット(epaulette)とは「肩章(けんしょう)」のこと。

タブ状の布片の肩飾りで、トレンチコートなどでも見られるディテール。

エポーレットの起源は軍服。18世紀中期から見られるデザインだと言われます。

背嚢(はいのう、リュックサックのこと)などの装備をつけるための実用的な意味に加え、装飾的になったり、この部分を利用して階級を示すようになったり…と発展していきました。

このエポーレット部分を持って引っ張って、倒れた仲間を救出することもできるのだそうです。

またフラップポケットとは、外側にふたがついたポケットのこと。雨蓋(ふた)ポケットとも呼ばれるように、元々は雨やホコリよけのための機能で、基本的に外で着るための服につけられるディテールです。

パイロット感を盛り上げるMA-1風フライトジャケット

航空学校のキャップとフライトジャケットを着た舞。

キャップはアポロキャップと言われる、NASA(アメリカ航空宇宙局)で使われている作業用の帽子が元イメージ。

月桂樹の刺繍が特徴的。正面の刺繍で所属などがわかるようになっており、発展形が消防、警察、自衛隊、警備会社などで使われています。

フライトジャケットもかっこいいですね!

米軍などで採用されたフライトジャケット。特に「MA-1」と呼ばれるナイロン製のモデルは、パイロットイメージのジャケットとして大人気になり、カジュアルアイテムとしても一般に浸透しました。

▼MA-1についてくわしくはこちらの記事をどうぞ!

40代・50代には懐かしい?トップガンで人気再燃「MA-1」の大人女性コーデ

仲間意識、CI…ユニフォームの力とは

なにわバードマンの「チームTシャツ」

ユニフォームといえば、大学の人力飛行機サークル「なにわバードマン」のチームTシャツも忘れられないウェアです。

「舞いあがれ!」の時代背景は現代より少し前(舞の大学入学は2004年)。

1990年代頃からクラスやサークル、イベントでのチームTシャツ制作が普及していったんですよね。
技術の進展で、個人がPCで作ったデータをそのままTシャツにプリントするなど、誰でもオリジナルアイテムを気軽に作れるようになったのです。

みんなの「飛べ!」という気持ちが一目でわかる!
お揃いのユニフォームには仲間意識やチームの団結を深める効果がありますよね。

CIにも貢献したユニフォーム

また、舞の父・浩太(高橋克典さん)が東大阪の町工場・岩倉螺子製作所を「イワクラ」に変えましたよね。
CI(コーポレートアイデンティティ)、会社のビジョン創り…これも当時の流行(というかちょっと遅め?)

舞の子ども時代は汚れも目立っていた浩太たちの作業服。ワーキングユニフォームは、この頃にお洒落なカラーリングやデザイン、撥水や防汚加工、ストレッチ性などの高機能をそなえたユニフォームとして大きく進展し、企業の団結力の源となりイメージアップにも貢献しました。

パステルカラーの舞。仲間と個のあり方とは

舞の普段着、祥子の仕事着。

こうして見ると、舞はずっと、青空を思わせるすがすがしいブルーやネイビー、青系のユニフォームの中。

家族、チーム…仲間に囲まれて夢に挑戦する生き方をしている舞。

でも、もともと舞の普段着はソフトなパステルカラーのコーデが多かったのですよね。クリームイエローやサーモンピンクの印象です。

「舞いあがれ!」では、当初から一匹狼的な兄・悠人(横山裕さん)や、組織からドロップアウトして旅立つ幼馴染の貴司(赤楚衛二さん)といった人物の存在も描かれています。

仲間と個。

人生では、仲間と共にある時もあれば、いつもみんなと一緒というわけにはいかない時もあります。

「舞いあがれ!」は、そのあたりを意識的に描いているような気がするんですよね。

ところで、舞の精神的な支柱でもある五島の祖母“ばんば”・祥子(高畑淳子さん)の仕事着を覚えていますか?

この帽子とパーカ、実は「亡くなったご主人(舞の祖父)の服」なのだそう!

五島の地でひとりたくましく生きているばんば。でも、船には娘の名前をつけ、夫の服を身にまとう…彼女はひとりでいても誰かと共にあるのです。

ここには、仲間と個のありかた…このドラマの心の一つの表現があるような気がします。

この先、舞はどんな人生を歩むのでしょうか?周囲との関わりや舞の選ぶ道、そして衣装にも注目しながら、後半に向けてドラマの行方を見守っていきたいです。

POINT

  • 「舞いあがれ」航空学校の制服が凛々しい。エポーレットとは肩章のこと
  • 仲間意識を育むユニフォームは、クラスやサークル、企業の団結力の源になった
  • 舞の人生、仲間と個のありかた。今後の展開と衣装も見守りたい

 

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」公式サイト