コラム

「ペプラム」とはどんなデザイン?語源や歴史、2026秋冬トレンドも解説

「ペプラム(peplum)」とは、カットソーやニットなどトップスのウエストで切り替えて裾が広がるフレアやフリル状のデザインのこと。またパンツやスカートなどのボトムスのウエストに短いオーバースカートがついたデザインもペプラムといわれます。

2026年秋冬トレンドの1つでもあり、切り替え+ふわっと広がるシルエットの効果でウエストを細く見せたりヒップ周りをカバーしたりできるため幅広い世代から人気のデザインです。

ペプラムの発祥は古代ギリシャ時代まで遡る

ペプラムの語源は古代ギリシャ語の「πέπλος(ペプロス/peplos)」で、紀元前6世紀頃の一枚布を身体に巻き付ける女性の衣服の名前です。

ギリシャ彫刻や歴史映画などでもよく見かけますよね。

上の写真は、ギリシャ・アテネのアクロポリスの丘にある彫像ですが、よく見るとウエストの部分で折り返した布がひらひらしているのが分かると思います。これが後々のペプラムの原型ですね。

ちなみに、アテネの女性はこの写真のように垂らした布を縫い合わせてロングスカート状に着ていましたが、ライバル都市のスパルタの女性たちは足を隠すことなく、両空きのチャイナドレスのような状態でペプロスを着ており、アテネの人々はその大胆な姿に呆気にとられた…という記録も残っています。

ペプラムと似た言葉や同じ意味の言葉

ちなみにフランスでも同時期に同じタイプの衣服を着ていましたが、フランスだけは「バスク」と呼んでいたそう。

また、よく似た名前の「ビブラム」というファッション用語がありますが、これはペプラムとは全く関係ありません。「ビブラム(Vibram)」はイタリアの登山家ヴィターレ・ブラマーニの開発した靴底のブランド名で、滑りにくく高機能なことで知られています。

ルネッサンス期は男性の衣服にもペプラムデザインが

現代ではひらひらと揺れる女性らしいイメージのペプラムですが、中世の衣服には男女を問わずペプラムに通じるデザインが見られます。

上記はニューヨークのメトロポリタン美術館収蔵の、16~17世紀にヨーロッパの男性が身につけていた「ダブレット」「ジャーキン」と呼ばれる衣服で、鎧の下に着ていたともいわれています。

一方、19世紀には、女性たちがウエストを細く見せるためコルセットで締めた上にペプラムを施したドレスを着て、よりスタイル良く見せようとしていました。(写真はスペイン国立衣装博物館収蔵のドレス)

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近代のペプラムは「パワー」の象徴にも

近代になると、ブラウスやスカートなどさまざまな日常のアイテムにペプラムが取り入れられ流行していますが、なかでもクリスチャン・ディオールの華やかな「Bar Suit(バー・スーツ)」やアルマーニ、「ペプラムの女王」とも呼ばれたティエリー・ミュグレーが発表した肩パッド+ペプラム+ペンシルスカートの「Power Suit(パワースーツ)」は一世を風靡しました。

1980~90年代は、ヒカリモノガタリ世代(アラフォー以上)の女性は10代・20代、日本ではバブル全盛期。ウエストがシェイプされ、肩パッドが入った原色のスーツを思い出す方もいるのではないでしょうか。

インドやパキスタンなどでは、ペプラムデザインのブラウスやジャケットは礼装の定番で、ビーズやビジュー・金銀の刺繍を施した豪華な衣装が結婚式やパーティーなどでもよく着られています。

日本ではどちらかというとフェミニンなイメージのあるペプラムですが、実はこんなに長い歴史の中で、男性も女性も身につけていたのですね。

体型をカバーしながら華やかさも演出してくれるペプラムを取り入れたアイテムは、この秋もトレンドになっています。


店頭で見かけたときは、手に取ってはるか古代ギリシャに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

ペプラムに関するよくある質問

Q. ペプラムとはどんなデザインのことですか?

ウエスト部分で切り替えて、裾がフレアやフリル状にふわっと広がるデザインのことです。トップスに使われることが多く、パンツやスカートのウエストに短いオーバースカートがついたものもペプラムと呼ばれます。ウエストが細く見え、ヒップ周りを自然にカバーできるのが特徴です。

Q. ペプラムとビブラムはどう違いますか?

名前は似ていますが、まったく別のものです。ペプラムは古代ギリシャの衣服「ペプロス」を語源とする服のデザイン名。一方ビブラムは、イタリアの登山家ヴィターレ・ブラマーニが開発した靴底のブランド名で、滑りにくく高機能なソールとして知られています。

Q. ペプラムはどんな体型の人に似合いますか?

ウエストで切り替えて裾が広がるため、くびれを作りながら腰やヒップまわりをカバーできます。下半身が気になる方や、シルエットにメリハリが欲しいと感じている方に特に向いています。切り替え位置が高めのものを選ぶと脚長効果も期待できます。

Q. 40代・50代がペプラムを着ると甘くなりすぎませんか?

フリルの分量が控えめで落ち感のある素材を選べば、大人世代でも上品に着こなせます。黒・ネイビー・グレージュなどのベーシックカラーを選び、ボトムスは細身のパンツやタイトスカートを合わせると、ペプラムのボリュームが引き立ってバランスが取れます。

POINT

  • ペプラムの語源は古代ギリシャの衣装「ペプロス」
  • 中世~近世まで、男女ともにさまざまな形で取り入れられてきた
  • 近代では強さの象徴である「パワースーツ」のディテールとしても有名