ジュエリーの基礎知識

【宝石の種類】オブシディアン:意味と和名、石言葉は?オニキスとの違いと黒琥珀

オブシディアン(Obsidian)」。
オニキスと似た不透明の艶のあるこの宝石は、実は岩石宝石と呼ばれるもの。

オブシディアンは岩石、オニキスは鉱物から成り、硬度も異なります。

今回はオブシディアンの基礎知識についてお届け。
黒い宝石のなかでも広い地域で使用されていた、日本にも縁のある宝石とは?

オブシディアンの意味。和名、石言葉は?

オブシディアンの意味と和名

ローマの旅行家であったオブシウス(Obsius)が、エジプト(またはエチオピア)で発見したと伝えられている「オブシディアン」。

人名が由来となった宝石はモルガナイトスギライトがありますが、オブシディアンもそのひとつです。

主な産出地はメキシコ・アメリカ・日本。

モース硬度は5。

劈開はなし。
貝殻状断口といって、割った面が貝殻の表面のように見える特徴があります。

オブシディアンの和名は「黒曜石(こくようせき)」。
「曜」には「輝く」という意味があり、「黒くきらきらと輝く石」で黒曜石とされました。

惹きつけられる黒の深さと輝きがある瞳を「黒曜石のような瞳」と例えるなど、文学的表現にも多用されます。

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オブシディアンの石言葉

オブシディアンの石言葉は「不思議」。

古代ギリシャ時代に記された「リディカ」という詩集で「未来を予言する力をもたらす」特別な石と記されていました。

他にもメキシコでオブシディアンの鏡が予言に用いられるなど、不思議な力が宿っていると信じられていたのです。

オブシディアンはどんな石?黒琥珀とは?

オブシディアンは天然ガラスの一種
ガラスが宝石?と思われるかもしれませんが、耐久性が高く研磨で美しく成るものは宝石として認められることも珍しくはありません。

透明感と深みのあるグリーンが特徴のモルダバイトも天然ガラスの一種です。

オブシディアンは天然のガラス

火山の溶岩からできるオブシディアン
溶岩が瞬時に冷却されたものであり、特定の化学成分を含むマグマから生成されます。

カラーバリエーションは黒と赤、茶。
インクルージョンを含むことも珍しくはなく、カボションカットを施すとキャッツアイ効果を表すものもあります。

ゴールドシーンを持つものは銀河を思わせたり、水たまりに落ちた油のような虹色のイリディエッセンスを持つものも魅力的。

この黒地に虹色の光沢が美しいものは「黒琥珀」とも呼ばれます。

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もうひとつ、灰色や白が雪のように黒地に落ちたものはスノー・オブシディアン(雪花黒曜石)と呼ばれ、独特の模様が人気を集めています。

天然ガラスのため、他の主要な宝石と比べて壊れやすい傾向にありますが、細心の注意を払って加工すれば彫刻も施せます。

磨いてツヤが出るため、宝石以外に置物や鏡として加工されることもあります。

オブシディアンの逸話。縄文時代に重宝された日本と縁のある宝石

ところでオブシディアンの和名である「黒曜石」。
どこかで聞き覚えはありませんでしょうか。

実は日本と縁が深い宝石であり、時代は縄文時代にまで遡ります。
矢じりの先に用いられていたのがオブシディアン(黒曜石)なのです。

日本史を専攻していた方ならぴんときたかもしれませんね。

現代でも主な産出地として挙げられるほど、日本に縁がある宝石と言えるでしょう。

オブシディアンは割れると鋭い刃となるため、武器や道具としてメソアメリカ、古代エジプト、ネイティブアメリカンなど、日本以外にも様々な文明・民族に用いられてきました。

広い地域で価値があるとみなされる、貴重な宝石でもあったのですね。

取り扱い時の注意点は?

硬度が低く、衝撃に弱いオブシディアン。
汚れても超音波洗浄器での洗浄は避けて。

日常の取り扱いに関しては神経質になりすぎることもありませんが、ぶつけると割れてしまうため、リングよりネックレスやブローチ、イヤリングやピアスに仕立てられたものがおすすめです。

POINT

  • 鉱物ではなく、岩石から成る天然ガラスのオブシディアン
  • 日本では縄文時代から道具として用いられ、現在でも産出
  • インクルージョンを含むものは様々な名称が与えられ、虹色を示すものは黒琥珀と呼ばれる
  • 衝撃に弱いため、着用時・保管時には細心の注意を払うこと

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