ジュエリーの基礎知識

【宝石の種類】フローライト:意味と和名、幅広い色の種類と歴史

縞目模様の美しさや、シャープな多面体。
なんの鉱物か知らなくてもその姿は知っているという方もきっと多い「フローライト(fluorite)」。

古代ローマ時代にはグラスの形に研磨され、大流行した歴史があります。
幅広いカラーバリエーションを持ち、鮮やかな色が多い宝石です。

世界中で産出し、古くから人類との関わりを持つフローライトの基礎知識についてお届けします。

フローライトの意味、和名、石言葉は?

フローライトの意味と和名

ラテン語で液体を意味する「fluid」が語源。

その後「fluere」、「fluor」と変化し、石を意味する「ite」と組み合わさって「フローライト(fluorite)」となりました。

モース硬度は4、立方晶系のハロゲン化鉱物。

ジュエリーやアクセサリーとして用いるには硬度が低いため、ビーズで身につけられることの多い宝石です。

劈開は四方向に完全
産出したままの結晶でも、綺麗な八面体のフローライトを見ることができます。

フローライトの和名は「蛍石(ほたるいし)」。
紫外線をあてると発光する性質から、蛍石と名付けられました。


しかし、すべてに蛍光性があるわけでなく、蛍光性を持つフローライトは希少。

この蛍光性は「フローレッセンス(fluorescent)」と呼ばれ、ダイヤモンドにも確認できます。

関連記事:宝石の和名が知りたい!名付けに役立つ宝石の名前や漢字のヒント一覧

フローライトの石言葉

フローライトの石言葉は「少しの希望」。
ピンクは恋愛、グリーンは健康と、色によって様々な意味が込められています。

フローライトのカラーバリエーションと加工の歴史


フローライトはその色の豊富さでも知られており、通常ひとつの結晶に複数の色が確認できます。

色の種類とフローライトならではの魅力

青から紫、黄から橙、緑にピンクまで、幅広い色が魅力のフローライト。
ほかの多くの鉱物と同様に、不純物がない純粋な状態では無色透明。

紫、緑色は産出量も多く、濃淡差を楽しむことができます

一般的に、ピンクや赤、黒、茶はあまり見かけることのない色とされています。
不純物の混入以外には、結晶構造も色の発現要因です。

フローライトといえば縞模様が入ったものも人気ですね。

バイカラーだけでなく、ひとつの結晶に複数の色がまるで層のように重なっている様は、トルマリンとはまた別の魅力があります。

グラスや彫刻、レンズ。フローライトの多様な用途

硬度も低く、基本ビーズや結晶の形で見ることの多いフローライト。

古代ローマ時代にグラスとして加工されたように、現在に至るまで様々な地域でフローライトは加工されてきました。

ブルー・ジョン(Blue John)」と呼ばれる独特の紫と黄色、またはカラーレスのフローライトは、ヨーロッパで人気が高く、ローマ時代から宝石、花瓶や皿、装飾品へ加工されてきました。

古代エジプトではスカラベや彫刻に、中国でも数百年に渡り彫刻の素材として。

アール・デコを代表するルネ・ラリックルイス・ティファニーのガラス工芸品にも、フローライトが原材料として用いられています。

現在では、カメラのレンズにも使用。
「蛍石(けいせき)レンズ」と呼ばれるフローライトの軽さや光学的特性を活かしたレンズは、性能の高さや加工の手間がかかることからとても高価。

傷がつきやすいといったフローライトの性質から、ガラスレンズでカバーされるとか。

宝飾用にカットされたフローライトも水晶でカバーされることがあり、傷から守るためのこうした加工はたびたび見られます。

一見加工がしやすい素材だと思われていますが、熱を加えると溶けたり弾けるため研磨は時間をかけて行う必要があり、ヒビが多く劈開を持つため繊細な作業が必要

繊細な装飾のカメオや美しいファセットカットを施されたフローライトは、こうした時間と手間をかけて生み出されるのです。

取り扱い時の注意点は?

硬度は4と低く、傷がつきやすいため取り扱いには注意が必要。
超音波洗浄器はいうまでもなく厳禁

簡単に欠けてしまうため、ほかのジュエリーとは分けて保管してください。

ビーズ加工のネックレスは、柔らかい布で包んでから石同士がぶつからないように。

ネックレス用の細長いジュエリーケースに入れて個別で保管すると安心ですね。

紫外線に当てるだけでなく加熱でも発光しますが溶けやすく、割れてしまうことも。

フローライトの蛍光が見たい!といって加熱すると割れて弾けるため、絶対に行わないようにしてくださいね。

フローライトの蛍光性を確認したい場合、太陽光下で見る、ブラックライトを用いるなど適切な方法で確認することをおすすめします。

POINT

  • 宝石の中でも幅広い色で知られるフローライト
  • 古代ローマから現代まで、様々な用途で重宝されてきた素材
  • フローライトには「蛍光性(フローレッセンス)」を持つものも
  • 硬度が低く劈開を持つため、一般的にはビーズとして身につけられる

【あわせて読みたい】「ない色が無い」でお馴染みのトルマリン。

【宝石の種類】トルマリン:意味と誕生月、パライバやウォーターメロンとは