ジュエリーの基礎知識

アンティーク・ジュエリーとは?ヴィンテージとの違いは?歴史と魅力をたどる

アンティークやヴィンテージが好き、レトロなもの、古いものが気になる、イギリスやフランスなど欧州(ヨーロッパ)の文化が好き…という方は、アンティーク・ジュエリーにも心を魅かれることでしょう。でもそもそも「アンティーク」と「ヴィンテージ」って何が違うのでしょうか?

今回は「アンティーク・ジュエリー」の基本についてお届けします。

いつ頃から「アンティーク・ジュエリー」と呼ばれるの?

「アンティーク」と「ヴィンテージ」ジュエリーの違いとは?

「アンティーク・ジュエリー」とは、「100年以上前に製作された宝飾品」で「骨董的・美術的な価値を持つもの」のことを言います。

実際に市場に出回るのはほぼ200年以内のものということもあり、専門家によっては、後述する1920年代~30年代のアール・デコ時代のジュエリーまで含める方もおられます。

ちなみに、1920年代~30年代に増えたイミテーションや異素材使いのジュエリーは「コスチューム・ジュエリー」と呼ばれます。そして、それ以降から1970年代頃までのジュエリーが「ヴィンテージ・ジュエリー」や「エステート・ジュエリー」と呼ばれています。

「アンティーク」と「ヴィンテージ」、ジュエリーの世界では時代区分で使い分けられているんですね。

アンティーク・ジュエリーの歴史と時代区分

もともとは王室や貴族など限られた身分の者が身に着けていたジュエリーですが、18世紀半ばから始まった産業革命により財を築いた中流階級の人々がジュエリーを求めるようになり、大衆人気が高まりました。現在市場でアンティーク・ジュエリーとして出回っているのは、この頃のイギリスを中心とした欧州全体で製造されたジュエリーです。

時代によって特徴的なスタイルがあります。現在見られるアンティークジュエリーを、英国王室の王様の名前で区分すると以下の通りです。

ジョージアン(1714年~1837年頃)

ジョージ1世から4世の時代。ロマン主義。

ヴィクトリアン(1837年~1901年頃)

ヴィクトリア女王在位期間。産業革命でイギリスが栄え、ジュエリーが人気になる。
1861年にヴィクトリア女王の夫アルバート公が亡くなると「モーニングジュエリー(喪のジュエリー)」が流行。

エドワーディアン(1901年~1915年頃)

エドワード国王在位~第一次世界大戦までの時期。プラチナやダイヤモンドが社会に浸透。

またデザインのスタイルとしては特筆すべき2つのムーブメントがあります。

アール・ヌーヴォー(19世紀末~20世紀初頭)

フランス語で「新しい芸術」。職人仕事の再生、動植物モチーフの曲線的・有機的な美しさ。

アール・デコ(1920年代~1930年代)

進歩した文明=「機械」を思わせる直線的、幾何学的なデザイン。アメリカでも流行・発展。

アンティーク・ジュエリーの魅力と注意すべき特性とは?

アンティーク・ジュエリーはその時代時代を映したスタイルを持ち、宝石のカットなども歴史を表します。職人の手仕事が感じられる一点物のジュエリーなどは、現代の工業製品では味わえない格別な価値があるもの。時を超えた一期一会の出会い、アンティークの世界独特の魅力に引き込まれます。

一方で「アンティーク」ですから、当然製造直後の完璧な状態ではありません。擦れや修理の跡があったり、刻印の入っていないものや消えているものもあります。金(ゴールド)の純度も9金、15金など現代では見られない含有率のものもあり、馴染みのない方には価値が判断しにくいもの。

アンティークの魅力と特性を理解した上で、経験値のある専門店や展示会など、テスターで素材を確かめられたり詳しく問合せができるお店で求めることをおすすめします。

POINT

  • 主に100年以上前に製造された宝飾品=「アンティーク・ジュエリー」と呼ぶ
  • 「ヴィンテージ・ジュエリー」はアンティークの時代以降、1970年代頃までのジュエリー
  • 歴史的な魅力がある一方、アンティークの特性も理解しておこう

Revised Edition 2019 02©hikarimonogatari.com