マーケティング

小さなブランド&お店のマーケティング物語 第7回:4Pとは?(その1)

マーケティングを猫との会話で気軽に学ぶシリーズ・第7回です。
前回STPについて学んだユイさん、自分のお気に入りのノートにいろいろ書き込みを始めています。キーワードを書いてつなげてみたり、イラストや図を書いてみたり…頭の中が整理されていくようで、ユイさんは作業が面白くなっていました。
その足元に、いつもの猫が来て、ノートを覗き込もうとしているようです。

『考えがはかどっているんですね、手がよく動いています』

「お客様のタイプ別イメージ像や欲しいもの、他のお店との比較…いろいろ書き出しているんです」

『素晴らしい。どんな方にどんな立ち位置で販売していくか…STPで市場のフィールドを見据えたら、いよいよマーケティング戦略マーケティングストラテジー;Marketing strategy)を立てる段階ですね』

「戦略っていうとなんだかモノモノシイ感じで、またちょっと引いてしまうんですけど…」

ストラテジー;Strategyとは、ある目的を達成するために総合的に進められる計画や運用方法…<方策>のことです。軍事用語で使われたので<戦略>と翻訳されていますが、戦いの要素はあまり意識しなくていいです』

「そう聞くとちょっと安心」

4Pって何?マーケティングの4つの要素とは?

『さて4Pって、聞いたことありますか?』

「…また略語ですね。STPのP(ポジショニング)とは違うPなんでしょうか?」

『はい。4Pマーケティングミックスは、1960年代初めにアメリカの学者マッカーシーが提唱しました。マーケティングの要素を4つに区分して戦略を立て、さらに組み合わせて総合的な戦略を計画立案していこうという考え方です。マーケティング戦略の基本フレームワーク(考え方の枠)として有名です』

【4Pとは】

  • Product 製品 (何を売るのか)
  • Price  価格 (いくらで売るのか)
  • Place  流通 (どこで売るのか)
  • Promotion 販促 (どのように知ってもらうか)

「マーケティングの4つの要素…。そうか。ジュエリーでも、食品でも、家電でも、この4つの要素は共通してますもんね。どんな業界の誰でも使える理論って便利ですね」

『ちなみに、4Cというのもあるのですがご存知ですか?』

4Pの進化形、4Cとは?

「うわ~、さらに4Cもあるんですか?」

『1990年代にラウターボーンが提唱した考え方が4Cです。これは4Pは売る側(プロダクトアウト)の視点だとして、同じ要素を買う側(マーケットイン)の視点でとらえようとしたものです』

【4Cとは】

  • (Product→)  Customer Value 顧客価値
  • (Price→)Cost 顧客にとっての経費
  • (Place→)Convenience  顧客の利便性
  • (Promotion→)  Communication 顧客とのコミュニケーション

「なるほど、4Pを違う視点で表現してみたのが4Cなのか…」

『モノの大量生産を背景にマーケティング理論が生まれた4Pの時代から、一歩進んだ形といえるでしょう。ビジネスが実体のあるモノの販売だけではなくサービス手数料など形のないものが増えてきたことや、マーケティング理論が営利目的だけでなくさまざまな社会活動にも使われるようになったことも影響していそうです』

「たしかに、お客様にとっての価値って視点は大事だし、売るぞ~感が強いプロモーションよりコミュニケーションの方が今どきに合っている気がしますね」

『4Pは、売り手側にはとてもわかりやすいです。さらに4Cの内容も意識することで、よりお客様の視点にたった戦略が立てられると思います』

4つの要素を総合してマーケティング戦略を立てよう

「それにしても、改めて思ったんですけどProduct:商品やPrice:価格設定もマーケティング戦略なんですね」

『Promotion:プロモーションがマーケティング戦略だと?』

「何かそういうイメージが抜けなくて…」

『プロモーションだけをマーケティングだと思っている方は意外と多いですね。実は、ターゲットや自社のポジショニングに合わせて商品の内容や価格を設定するところから、もうマーケティングなのです。これはとても大事な点ですね』

「私は自分で商品作りも値決めもしているから、むしろ4Pを考えやすいといえるかも」

『とてもいいことです。組織が大きくなると、商品の開発、価格設定、プロモーションをそれぞれ別のチームが担当して意思疎通が図れていない場合もありますから、小さな組織のほうが4Pとマーケティングミックス、本来のマーケティング戦略を立案・実行しやすいのです…って、このことは何度も言っていますね』

ユイさんは、猫の言っている意味がわかってきました。自分で全部考えるのは大変だけど、やりがいもある…そんな気持ちが大きくなってきたからです。4Pの話は次回も続きます。

POINT

  • 4Pとマーケティングミックスはマーケティング戦略の基本フレームワーク
  • 現代においては、4Pの発展形4Cの視点も意識していこう
  • 4要素それぞれの戦略を組み合わせ総合的なマーケティング戦略を立案しよう

「小さなブランド・お店のマーケティング物語」は月1回連載予定です。次回もお楽しみに!

Text by officenovel