ジュエリーのモチーフといえば、どのようなものを思い浮かべるでしょうか。
花や星、ハート。
形のあるものを中心に、さまざまなデザインがあります。
しかし、最近じわじわと静かな注目を集めているのが「見えないもの」をかたどったジュエリーです。
音、指紋、記憶、時間、データ。
そうした本来は特定の形を持たない要素をあるかたちに落とし込むことで生まれるジュエリーは装飾品という枠を超えて、身に着ける人の物語を映し出します。
トレンド消費とは異なる価値観をベースに生まれたこれらのジュエリーは、一過性のファッションジュエリーではなく、「意味」を大切にしたい大人の感性に寄り添うアイテム。
今回は「見えないモチーフ」のジュエリーについて。
さまざまな「見えない」をモチーフにしたジュエリーをはじめ、意外性のあるその魅力と背景にあるコンセプトをご紹介します。
大切な人へ贈るギフト選びのヒントにしてくださいね。
「見えないモチーフ」をかたどったジュエリーとは?
ハートや蝶々、花や星以外にも、星座モチーフや絵とモチーフなど、ジュエリーとして選ばれるモチーフは誰の目にも分かりやすいものが人気を得ていました。
そこには、意味が共有されやすく、贈り物としても選びやすいという理由があります。
一方で近年、静かに支持を広げているのが「見えないもの」をテーマにしたモチーフジュエリー。
本来、特定の形を持たず、視覚的に捉えることが難しい要素です。
しかし、それらをあえてモチーフとしてジュエリーに落とし込むことで、「個人の物語を宿す存在」へと変化します。
流行に乗るよりも、自分自身にとっての意味や背景を大切にしたい。
そうした価値観・雰囲気が高まる中、「見えないモチーフ」のジュエリーは、大人の女性たちの感性に自然と寄り添う存在となっています。
ここからは代表的な三つの「見えない」を形にしたジュエリーモチーフをご紹介します。
モチーフ1:「音」を刻むジュエリー
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一つ目が「音」。
音とは、空気の振動によって生まれる現象です。
触れることも、その場に留めておくこともできない。
音の記憶はあっても、年々その形を変えていく。そんな儚さを持っています。
ロンドン発のジュエリーブランド「ENCODERING」は、音をデジタルデータとして解析し、固有の波形を立体的な造形へと変換することで、リングやネックレスとしてデザインしています。
録音された声や音楽の波形は、すべて異なり、完全に同じ形になることはありません。
愛する大切な人の声。
忘れられない贈られた言葉。
子どもの笑い声に、あなたの人生のある一節を彩った曲。
これらは目に見えなくとも、強く記憶に残るものです。
外見上はシャープでミニマルなデザインのため、日常に溶け込むジュエリーです。
しかし、持ち主だけが知る物語が刻まれているのが、こうした音をモチーフにしたジュエリーの最大の魅力といえるでしょう。
声や音楽の波形を形にする、感覚をまとうことのできるモチーフです。
モチーフ2:「紋」をかたどるジュエリー
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二つ目が「紋」。
生涯を通じて変わることがなく、他人と完全に一致することのないただひとつの模様といえば指紋です。
音と異なり厳密には「形」がありますが、身体が自然に刻んだ唯一無二のデザインであり、―生涯変わらない「個人の証」。
「SIG Jewelry」では、実際の指紋データをもとにジュエリーを制作しています。
細かな隆線の流れを抽象化し、洗練されたデザインへと昇華。
たとえばパートナーの指紋を身に着けることは、相手の存在を日常の中で感じ続けること。
愛犬の肉球痕や鼻紋もジュエリーにすることもできるのだとか。
言葉やモチーフで直接的に愛情を表現するのではなく、静かに。その控えめな姿勢が、大人のジュエリーとして高く評価されています。
モチーフ3:「データ」や「時間」をまとうジュエリー
三つ目は「データ」や「時間」。
心拍数のリズムを線に変換したり、特定の日時や場所を数値化しデザインに落とし込むこと。
さまざまな観点から時間やデータを扱うアプローチも増えています。
目に見えない時間の流れや、日常の中で消えていく感覚を、あえて「物」として残す。
トレンド消費とは異なる、「物語を語るジュエリー」。
説明しなければ分からない。けれど、「物語(ストーリー)」がある。
その余白こそが、身に着ける人の知性や価値観を映し出します。
見えないものを形にするという行為は、単なるデザインの要素ではありません。
「何を大切にしているのか」「どんな記憶や感覚を大切にしているか」という問いへの答えのひとつでもあります。
ジュエリーというものが個人の物語や内面を映す存在へと回帰している今、「見えないモチーフ」は、新しいジュエリー選びの指針として、これからも静かに広がっていくでしょう。
POINT
- 見えないモチーフは、唯一無二のパーソナルな価値を持つ
- 抽象的なデザインだからこそ、語れる物語が生まれる
- 「見えないジュエリー」は流行ではなく「意味」で選ぶジュエリーとして支持されている
【あわせて読みたい】そもそもジュエリーのモチーフとは?どのようなものがあるのかをおさらいしてみましょう
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。




