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ジュエリーデザイナーの仕事とは?「アトリエ・ブラン」訪問記

ジュエリー・アクセサリー製作に関心のある方やお仕事で関わる方にもご愛読いただいている「ヒカリモノガタリ」。
実際のジュエリーデザイナーの仕事や仕事場ってどんな感じなのでしょう?
今回は、読者の皆様より少し先輩世代のジュエリーデザイナーのアトリエを訪問、いろいろお話をお伺いしてきました。なかなか見る事のできないアトリエの様子もご紹介します!

ジュエリーデザイナーのアトリエを訪問

今回ご訪問したのは「アトリエ・ブラン」のアトリエ。

デザイナーは美大卒業後、大手ジュエリー企業勤務の後独立、長年ジュエリーデザインの仕事をされています。ご自身のブランドの他にも、実はテレビドラマで採用されたりする人気ジュエリーブランドのブランド立ち上げに関わったり、原型といってジュエリーのもと型の制作を請け負ったりしているんですよ!

ジュエリーデザイナーとしてのキャリアのスタートは?

もともと美大ではグラフィックデザインを勉強していたデザイナー。

「自分は広告業界などより、モノづくりや工芸系に向いていると感じて、就職先を探したんですね。大手ジュエリー企業に就職したことから、仕事の現場でジュエリーの企画やデザインを学ぶことになりました」

ジュエリーデザインや知識など、現在の基盤は実地で身に着けていったんですね。

「大きな会社で『売っていくための企画』を学べたのもよかったかな。そのうち、原型などの作りをもっと勉強したいと思うようになって。職人の方に弟子入りしたりして一通りを学び、独立して『アトリエ・ブラン』を始めました」

さまざまな愛用の道具が並ぶ作業コーナー

デザインのインスピレーションはどこから?

アトリエ・ブランの作品は、最終工程までほとんど自身で仕上げるハンドメイドジュエリー。ジュエリーともアクセサリーとも呼べない、その中間に位置するようなものを意識したアーティスティックな作風です。

美しいデザイン画。でも、メモ程度の場合もあるそう!

ただいま製作中。どんな作品に仕上がるのでしょうか。

独創的で大胆なデザインが魅力の「アトリエ・ブラン」。デザインのインスピレーションはどんなところから生まれるのでしょうか?

「会社にいた頃は、トレンドや次シーズンの企画から始まっていたけれど、自分でやるともっと【たいらなところ】から考えていく感じね。例えば、石を仕入れたとき。石から感じるものがある」

机に座って考えるより、いろいろなものを見に出かけていくそうです。

「お洋服、工業製品、インテリアや建築など…違うジャンルからアイディアを得ることが多いですね。逆に出来上がっているジュエリーはあまり見ないかも」
ただ、アンティークジュエリーは参考にされるそう。「自分とはまったく発想が違うから!」

ジュエリー・アクセサリーの仕事を続けるには?

アーティスティックなデザインのシルバーリングたち

ジュエリー・アクセサリーデザインの仕事を長く続けるヒント

今の時代、特にアクセサリーの製作や販売はずいぶん手軽にスタートできるようになりました。それだけに、始めることはできてもその先どうしようとお悩みの方もいらっしゃるのでは?

ジュエリー・アクセサリーデザイナー、続けていきたいけど…と思われている方に向けて、先輩からのメッセージをお聞きしました。

長年続けるコツについてはひとこと、「『やめないこと』が『やり続けること』」。

「時間がなくてつらい、売上が…など大変なこともあるけれど、基本的に好きだから。仕事より面白いものがあまりないのね。やめたらゼロになってしまうし」

どんなことにも通じるお言葉です。

「あと『お客様に助けられた』というのもありますね。すごく気に入ってくださってその後もオーダーして下さる方、辛いことがあったからパーッとしたいの!と豪快にお買い上げくださる方…いろいろなお客様に出会って支えられてきた」

最近のお客様の特徴は?

「今のお客様は石に詳しいですね。もともとアトリエ・ブランの大胆なフォルムを好きになって下さる方が多くて、今はそれにプラスして石への関心、こんな石はありますか?といった希望が増えている。私もお客様に合わせて常に石の勉強をしています」

石の持ち味と自分の感覚を繋いでいく

先輩デザイナーから、これからの方へのメッセージ

ジュエリー・アクセサリーは、洋服などよりもジャンルが幅広い世界だとデザイナーは言います。

「私が独立したころは、ジュエリー=宝飾品、アクセサリー=安い物という二極。そのどちらでもないところ、中間を作りたくて始めたんだけど、今はその分野がすごく増えてますよね。だから、またその中でないところ、ないところを目指しながら、自分の今があるのかなと」

アトリエ・ブランのオリジナリティは、あくなき探求心から生まれているんですね。

「石についても、貴石・稀少な石だからというより『好き』が先だったり、発想が自由になってどんどん面白くなっている世界。私も、これからもやることはいっぱいある」

誰でも入れて、入ってからの広がりも広い世界。始めたばかりの方もぜひ挑戦し続けてほしいとのこと。

「今の若い世代は、適度に良いものが溢れていて、なかなか『本当に欲しいもの』が見つけづらい、これを手にいれたいという欲望が薄いといった印象もあるけれど…それでも、やっぱり魅力を感じてもらえるものを出してみてほしい。自分で『見せられる場』を作っていくのも大事ですね。若い人達の中には、素材も技術もユニークに組み合わせて、自由な発想で楽しいものを作っている人もたくさんいます。私も参考になりますし励みになります」

アトリエ・ブランも百貨店催事などへの出店に加えて、個展やグループ展示会などお客様との出会いや交流の機会を作っています。

「そしてやっぱりお客様や仕事仲間…人とのつながりが大事。人とのつながりでここまでやって来られたのだと思います。人との出会いは大事にしてほしい!」

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個別の作業も多く、なかなか知ることのできないジュエリー・アクセサリーの仕事の現場。今回の取材も、少しでも後進の方の役に立つならというデザイナーの思いもいただいて、貴重な機会を得ることができました。
ヒカリモノガタリの姿勢と共感する点も多く、とても楽しいインタビューでした!

★atelier bulan アトリエ・ブラン Webサイト http://www.characan.com/bulan/

★個展のお知らせ

“JEWELRY 2019 Winter”

日時:11月28日(木)~12月1日(日)11:00AM~7:00PM
場所:GALLERY HASEGAWA (〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-19-5)
   原宿駅竹下口下車徒歩1分
ナチュラルウェア作家さんとの二人展です。
下記写真は以前他の展示会に出展した際の様子となります。