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ひとり暮らしも家族4人も。わが家に合ったローリングストックの始め方

「ちゃんと備えなきゃ」と思って買った非常食が、気づけば賞味期限切れになっていた。 そんな経験、一度や二度はしたことがあるのではないでしょうか。

悪いのは、意識の低さでも、忘れっぽさでもありません。ただ、”仕組み”が自分の暮らしに合っていなかっただけ。

ローリングストックは、特別な備蓄術ではなく、普段の買い物の延長です。自分や家族の暮らしに合った「量」と「置き場所」さえ決まれば、あとは自然に循環していきます。

そこで今回は、整理収納アドバイザーの視点から、ローリングストックの「仕組みの作り方」をお伝えします。

ローリングストックとは?「特別な備蓄」にしすぎないことが大切

ローリングストックとは、レトルト食品や缶詰、飲料水などを少し多めにストックし、普段の暮らしのなかで消費しながら買い足していく備蓄方法です。

防災というと、「非常用」と書かれた長期保存食をイメージする人も多いかもしれません。もちろん、そうした備えも大切ですが、特別なものだけを別管理にしてしまうと、気づけば賞味期限が切れていたということも起こりがちです。

その点、ローリングストックなら普段から食べ慣れている食品を循環させていくので、管理の負担が少なく、無理なく続けやすいのが魅力。

防災を“非日常”として切り離すのではなく、日常の延長として取り入れる。そんな感覚で備えるほうが、暮らしにはなじみやすくなります。

続けようとして、うまくいかなかったのはなぜ?

ローリングストックをやってみたけれど、続けられなかったという声をよく聞きます。その原因はいくつかあります。

「とりあえず不安だから」で買いすぎてしまう

不安が強いほど、人は「もっと買わなきゃ」と感じるものです。それは防災意識が高い証拠でもあるのですが、収納スペース以上に増やしてしまうと、食品が分散して何がどこにあるかわからなくなっていきます。

まず決めるのは「量」より「場所」。棚ひと段、引き出しひとつ分など、”ここに収まる分だけ”を基準にすると、自然と量の上限が決まります。

しまい込みすぎて存在を忘れてしまう

せっかく備えていても、クローゼットの奥や収納ケースの中にしまい込みすぎると、存在自体を忘れてしまうことがあります。

防災用品は「隠す」ことより、「必要なときに使える」ことが大切。食品はキッチン、懐中電灯は寝室など、普段の動線のなかに自然に組み込むと、管理もしやすくなります。

「ちゃんと管理しなきゃ」と思いすぎる

「手前から順番に使わなきゃ」「ちゃんと管理しなきゃ」と思い始めると、ローリングストックは義務になっていきます。

でも、少しくらいズレても大丈夫。賞味期限をときどき確認して、ゆるやかに回っていれば、それで十分です。 完ぺきに循環していることより、無理なく続いていること。それが、ローリングストックではいちばん大切なのかもしれません。

単身・2人・4人家族で違う「ちょうどいい備え方」

防災備蓄の方法や量は家族構成によって異なります。ここでは、単身・2人・4人家族の3パターンで備蓄方法を考えてみました。

単身世帯は“コンパクトに循環できる量”を意識

単身の場合、収納スペースが限られていることも多いですよね。

「たくさん備えなきゃ」と思うよりも「好きなものを少し多めに持つ」くらいの感覚でちょうどいいと思っています。 お気に入りのレトルトや缶詰を、いつもより2〜3個多く買っておく。それだけでも、立派なローリングストックです。

2人暮らしは“好みの違い”も考えておく

2人暮らしになると、「片方は好きだけれど、もう片方は食べない」ということも増えてきます。

非常時だからこそ「食べ慣れた食品」「好きなメニュー」があると気持ちが落ち着きます。カレーが好きな人はカレー多め、パスタ派はパスタ系のレトルトを中心に、それぞれの好みに合わせて選んでみてください。 

バリエーションを少し持っておくと、同じものが続いたときの気分転換にもなります。

4人家族は“量”より“仕組みづくり”を

4人家族になると、どうしてもストック量は増えていきます。特に飲料水は、「足りなくなったら困る」という不安から、多めに備蓄している家庭も多いでしょう。

実際に片付けの訪問サポートで伺ったお客様も、大量のミネラルウォーターを備蓄されていました。ただ、気づけば賞味期限切れのペットボトルも増えていて、「万が一のときに使えるかもしれない」と処分できず、さらに新しい水を買い足してしまう状態に。

その結果、収納スペースのあちこちにペットボトルが増え、どこに何本あるのかわからなくなっていました。

もちろん備えることは大切です。でも、不安から量だけを増やしてしまうと、管理が難しくなり、かえってストレスにつながることもあります。

だからこそ、4人家族のように備蓄量が多くなりやすい家庭ほど、「どれだけ持つか」だけでなく、「期限内に使い切れるか」を意識することが大切です。

ローリングストックは“安心感を循環させる仕組み”

ローリングストックは、備えるための仕組みであると同時に、暮らしを循環させる習慣でもあります。

使ったら補充する。その小さな繰り返しが、「何かあっても大丈夫」という静かな安心感を日常のなかに育てていきます。 

完璧でなくても大丈夫。続いていれば、それがあなたにとっての正解なのです。

防災収納についてはこちらの記事をお読みください。

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